千年に一度の夜。777おけいさんin茅ヶ崎-2
今回のライブの楽しみのひとつに,若松さんにお会いできることがあった。メールのやり取りをさせて頂いておいでになる予定はお聞きしていたが,何せお会いしたことがないのでお顔がわからない。ここで頼りになるのはやはりUさん。5日の東大島にもお出でになっており,Uさんも初めてお会いしたのはお聞きしていたので,休憩時間にご紹介を頂いた。(ほんと何から何までお世話になりっぱなしである)
若松さんは外観だけを見るととても元ミュージシャンとは思われない紳士然とした方だった。たくみの方が一方的にお話するだけだったが,若松さんの方から終わってから話をしましょうということでそれぞれの席に戻った。ひとつだけ逸話をご紹介すると,若松さんはおけいさんが六文銭に参加するずっと前の六文銭のメンバーだった方だ。伝説の70年中津川フォークジャンボリーに六文銭のメンバーとして参加されている。当時のメンバーは小室さん,小室のり子さん(因みにお腹にはゆいさんがいた),ベースの入川さん,参加したばかりのこへさん,そして若松さんである。さてここからが若松さんにお聞きした話。フォークジャンボリーに参加が決まった六文銭。ところがそれがどんなものかメンバーもよくわからない。そこでリーダーだった小室さんは,どんなものかを理解させるため,メンバー全員を1969年に行われたこちらも伝説のウッドストックの記録映画を見せにいったとのことだ。1970年という時代がなんとなく伝わる話だと思った。因みにこのステージでおけいさんの爆発の夢じゃないけどげんじばくだんのうたが唄われている。
さて,後半の前に随分長くなってしまった。
七夕ライブのもうひとつの目玉が,主催者の溝江さんの10代からのお知り合いというか,そもそもおけいさんを溝江さんに紹介したのが,後半のゲスト猫の常富さんである。常富さんはおけいさんの山歩きの先生でもある由。去年の夏はたくみも高校時代によく登った穂高(確か涸沢から北穂,奥穂から岳沢へ降りるルートだったと思う)を始め,北アルプスの名山を踏破されている。
またまた横道へ逸れてしまった。その常富さんが後半から12弦ギターで参加されるのだ。
12弦ギター付ではじまった後半最初の曲は"へのへのもへじの赤ちゃん"ご存知スパイ物語の曲だ。そして大好きなというかフォークロアというかアイルランド民謡の"The Water is wide"。本当は心中の歌らしいけど,おけいさんの澄み切った声にぴったりの曲。続いては常富さんが12弦をウクレレに持ち替えて"Tonight you belong to me"と続く。
ここで梅雨まっただ中の七夕の夜に因んだ曲ということで,同じくスパイ物語の中から"雨が空から降れば",そしてまる六になってからの雨の歌"雨の言葉"。ここで朝日の天声人語に"しょうがない"の正しい使い方としてこの雨空が紹介されていたとお話されていた。勿論,正しくない使い方としてはあの話のことである。まあ,矛盾と言えばあの大臣,オツムの出来は知らないが今のタカ派安倍内閣の中ではめずらしいハト派でもある。イラク戦争は間違っていたまでは良かったが,今回は言い訳のしようがないだろう。その代役が風見鶏の小池百合子というのも何とも皮肉というかこれでほとんど見事にタカまるけの内閣になった。内閣内に何人もの核武装容認論者(首相自らだからしょうがないけどね)がいることが問題にならないのも変な気がするけど・・
続いてはこれも七夕ならでは?なのかな?こへさんの歌だが,おけいさんは最近よく唄われている"ガラスの言葉",実は作曲はTYさんなのを最近気づかれたとのこと。まあ,確かに誰の作曲よりいい曲かどうかが重要ではあるけれど・・。
次はその点では,TYさんからみの曲であるけれど,実際は作詞/作曲とも伊庭啓子さんの,何よりおけいさんが唄うと何故か涙が出てしまう"春の風が吹いていたら"。後半の盛り上がり部分は是非手拍子が欲しいところだけれど,さすがに一人ではできなかった・・。
最後は七夕本来の意味で,星に因んだ曲でしまることになる。
たくみはまる六で初めて聞いたのだけどキャンプ用の歌としては
結構有名な曲らしい?中川ひろたかさん 作曲 新沢としひこさん 作詩の"誰かが星を見ていた"。そして最後は,確かディズニーのピノキオの中の挿入歌である"星に願いを"。子どもの頃,テレビのディズニーランドで見た記憶が蘇る。
おけいさんは英語の歌をすべて日本語の歌として聞かせてくれる。意訳になるのかも知れないけれど,語学に疎い身としてはきれいな日本語の歌詞を透き通るようなおけいさんの声で聞いた方が数段心の中まで滲みとおる。
そしてアンコールは、今やアンコールの定番にもなっている"インドの街を象にのって"で約3時間弱に渡る七夕ライブの幕が降りた。ずっと余韻に浸っていたい幸せな時間だったが,ここで最後のサプライズ,実は常富さんはこの1000年に一度の777の日がお誕生日ということでハッピーバースディの歌とケーキがプレゼントされた。お年はこへさんと同じ,ついでに言うと若松さんとも同年代ということになる。
これでほぼ5ヶ月連続の月1ライブが終わってしまった。スケジュールを見る限り,一部を除くと11月まで予定が見当たらない。これからしばらくは禁断症状との闘いになりそうである。
以上が2回に渡って書き記した,777のおけいさんライブの記憶である。若松さんとお話したが,実は若松さんにとってもおけいさんはNo1の女性シンガーであるそうな。羨ましいことにそれを実感したのは35年も前のメモリアルの録音時だったそうなので,たくみとしてはそれから30数年後にしかおけいさんの生歌を聞かれなかったのは残念というか・・。とにかく自分の感性を信じれば昨年の10月28日におけいさんの生歌を聞いた瞬間から虜になってしまったのは事実である。若松さんにお会いできて一番よかったことは実は,この感覚が思い過ごしでなく,ある面近くに見えた方でも感じられたことであったことがうれしかった。
そうです,おけいさん。あなたの歌はすばらしんです。自信を持ってっていうのも変な言い方だけど,それだけ多くの人達を幸せにできる魔法のパワーがあることをご理解くださいね。
おけいさん達を東京方面の列車に見送り,0:30分発のムーンライトながらに乗り込むべく,茅ヶ崎の駅を後にした。七夕の夜とは言え,梅雨時の空に星は見えなかったけれど,今日は十二分に地上の星を堪能できた。
おっと,肝心のおけいさんの人としてのすばらしさを語ってなかったけ(予告と違いますね)
単純に言えば,歌と同じように人としてのすばらしさがあるということになるが,たくみ的に言えば,おけいさんは反則の人である。何が反則かって,本来,人は弱く,汚れる(kegare)ことによって成長を手に入れていると思う。それでも酷い自己嫌悪に陥らずに済むのは廻りも同様に汚れていくので,相対的に自らの汚れ具合を気にせずに済むのだが,あるいはたくみがいつも言うようにだから大人になりきれない(なりたくない)って嘘ぶくことになるのだけれど,おけいさんは立派な大人であるにも関わらず汚れとは対極の場に平然とおられる方なのだ。つまり,おけいさんの前では,これまでごまかしがきいていた自らの汚れがはっきり見えてしまうことになる。
この時代にこんな人がいるなんて,しかも人びとの心を癒す魅惑の声をお持ちになっている。更に年齢不詳のかわいらしさと抜群のスタイル,これやっぱり反則でしょ!?
ということで最後は締まりのない文章になってしまった。(反省)
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コメント
1000年に一度について。
ある方から千年に一度じゃなくて100年に一度じゃないか?との
ご指摘がありました。まあ,深い意味はないのですが1900年代に99年とか89年とか言っていたので2107年7月7日も777かなあとも思います。しかし,我々がこんな表記をはじめたのは20世紀からで,今や100歳以上の方が当たり前に見える時代になると100年に1回は夢がないというか有限な感じがします。それより3007年までない方が夢があっていいでしょ?というのがたくみの考えでした。
投稿: たくみ | 2007-07-24 20時11分
ハーブクマ様
わざわざ書き込みまで頂き恐縮です。
"溢れる愛情"ではなく"溢れるあこがれ"のつもりですが・・
35年前,遠〜いあこがれの存在だったおけいさんが
ネットを介してお会いしたら、なんとも気さくな
それでいて月日の流れを何ら感じさせないお姿で
そして気がつくと,たった二つだけのお姉様だったとしたら
しかもずっと愛して止まなかった歌の数々を
今に生きる歌として歌われているとしたら,
それでも平気でいられることの方が不思議でしょう!
何より,仕事柄,この逆のケースは嫌というほど
見て来たわけですから,
反則と言えば,存在自体が反則みたいな方だと思います。
そんなおけいさんに少しでもプラスになることなら
できることなら何でもしなくてはと思うのが
35年前の大事な宝物を見つけた私の役目だと思っています。
投稿: たくみ | 2007-07-18 21時46分
1に引き続いて書き込みさせていただきます。
ライブ終了後、若松さんをご紹介いただきありがとうございました。
たくみさんの六文銭への造詣の深さに驚かされます。勉強になります(笑)
曲目の解説もふむふむと読みました。
2もおけいさんへの溢れる’愛情’がひしひしと伝わってきますよ。
反則の部分、大いに賛同します。
ほんと反則ですよね!(笑)
私のほうも楽天ブログにhttp://plaza.rakuten.co.jp/earlgrey1/diary/200707070000/
書きましたので、ご笑読くださいね。
またいつかお会いできる日を楽しみにしております。
ありがとうございました。
投稿: ハーブクマ | 2007-07-18 02時46分
凛太郎様
早速のコメント感謝いたします。
詩的というと気恥ずかしいのですが,若松さんとお話をさせていただき,実は六文銭解散によって廻りのスタッフやメンバーの方々がおけいさんが引退(しかもずっとお幸せならともかく・・)されたのをいたく惜しまれていた。冗談半分で,誰か現役へ引っぱりだせないかと随分画策されていたというのをお聞きしました。(あれ?これオフレコかな?)
それほどの希代のボーカリストでありながら,いい意味で芸能人らしくないお人柄の良さ=欲のなさが復活まで28年かかってしまったとも言えるし,逆にその復活こそおけいさんらしいとも言えるお姿なのだと思います。
多分,凛太郎さんも生のおけいさんに接する機会がおありでしたら,その人としてのやさしさに圧倒されると思います。確かに希代の名歌手=人としてすばらしいという図式ばかりではないのは承知していますし,人として壊れかけた危うさの中に常人では表現できない世界があることも理解しています。
おけいさんは多分,対極にある方だと思うのですが,現実はそちらの方が胡散臭い存在であることを何度も思い知らされてきた身としては,最後の砦のような方だと思います。
世の中に一人ぐらい同じ世界に浸るだけで,心洗われ,安らぎを真から感じられる人がいてもいいというか,心のよりどころとしていて欲しいと思うのですが如何?
こんなことを書きながら,おけいさん本人には"気を使い過ぎですよ"とか"もっと我がままでいいんじゃないですか?"と挑発するとともに,おけいさんに余分な気を使わせなくできた時に本当のファンと認めて頂いたというハードルを勝手に設定している今日このごろです。
戯言が長くなってしまいました。ありがとうございます。
投稿: たくみ | 2007-07-15 19時09分
こんにちは。
臨場感溢れる千年に一夜のライブ・レポート、堪能させていただきました。細やかな気配りもさることながら、何よりもたくみさんの「想い」が感じられて、こうして音を聴いていない僕までが「魔法」にかけられたような心地です。
ヴォーカリストとしての実力が裏打ちされてらっしゃるからでしょうが、オリジナルもしくはそれに準ずる曲だけではなくスタンダードも手がけられておられるようですが、それはもしかしたらおけいさんのオリジナル歌詞もあるのでしょうか。
おけいさんの「The Water is wide」、聴いてみたいですね。さぞかし心地よく紡がれておられるのでしょうね。反則の方でらっしゃるが故に(笑)。
ライブレポート、「私的」であることを強調されておられましたが、僕から見れば「詩的」であるな、と(駄洒落でごめんなさい^^;)。想いが伝わるからこそ素晴らしいと思います。
それにしても、お帰りはムーンライトだったそうで、お疲れ様でした。
投稿: 凛太郎 | 2007-07-15 17時38分