FORLIFE 異種格闘技LIVE
ここしばらく何かを書く気力がなかった。
理由はいろいろあるけど,精神的なものはともかく肉体的にはもう随分前から右足の親指が痺れているのが影響しているのか?原因不明で痛い訳じゃないけど(巻き爪なので先っぽが刺さっていて痛い時はよくあるのだが・・)正座の後の痺れみたいな感覚がもう2週間程続いているのだろうか?
11月18日,次女の20歳の誕生日。と同時に丁度1年前,秋のOK's SQUAREでおけいさんと初めてお話をさせて頂いた大事な記念日である。新生FORLIFEレーベル誕生に合わせて,まる六のCD購入者特典として抽選で,この日のLIVEに入場することができた。籤運なんてないので,はなから当たる(何せ会場のペニーレインと来たらどう頑張っても50名が精一杯のキャパだから)ことを想定していなかったが,1週間前になって突然当選メールが届いた。当たった以上,まる六が出演するLIVEに行かない理由はない。しかし,1週間前では格安高速バスはすべて満席。しかも日曜日のライブで翌日は仕事となる。結果無償ライブながら往復新幹線という痛い出費とはなってしまった。(でもまる六のため,1周年記念だから・・まぁいいか)
品川から山の手線で原宿に着く頃には,テレビで見ていたマラソンの時の暑さは影を潜め,丁度出かける時の名古屋のように,北風が吹き捲くっていた。しかし,そんな寒さに関係なく原宿には相変わらず人が溢れていた。夕闇はとっくに迫っていたが,今日の開場は5時半,6時開演と,いつもより1時間は早い。これならなんとか最終の名古屋行き新幹線に間に合うだろう。
さて,勝手にまる六のCD発売記念のLIVEと思い込んでいたけど,実は原田真二さんの30周年記念CD及びオムニバスの原宿フォーク・グラフィティ40の合計3枚の購入者には同様の権利があるのだ。
と言うことで当日の出演は,猫(まあ常冨さんはレーベルプロデューサーでもある),斎藤哲夫さん,原田真二!?さん,そしてまる六である。豪華と言えば豪華,組み合わせの妙と言えば妙,どうみても異種格闘技の趣きである。個々で言えば猫とまる六,猫と斎藤さん,斎藤さんとまる六という組み合わせはないわけではないが,いくらFORLIFEとは言え原田さんは異質なのでは・・・。
案の定,テーブルを取っ払って椅子だけになった会場には,おなじみの方々とは違う,若干年齢が微妙なそれでいてグループでの一団が陣取っていた。確かに原田さんのステージが盛り上がることは想像されたけど,この一団は猫はともかく斎藤さんや毒のあるまる六についてこられるのだろうか?正直こんな不安が頭をよぎった。ところがこのことは単なる杞憂にすぎないことが判るのだが。
トップバッターは猫。常冨さんや石山さんにはおけいさんのLIVEでよくお会いしているものの,生の猫は初めてである。予想どおりというか,さすがというライブだった。常富さんの淡々としたMCにとぼけた石山さんの話がかぶってくる。枯れた?青春を感じさせるサウンドは猫ならではのものであろう。原田さんの若さ(とは言え彼も50真近ではあるが)とは違うけれど,原田ファンも乗っていけるトップバッターの役割は十二分に果たされていた。
2番手は斎藤哲夫さん。実は昔からの密かなファンである。特徴のある声と極めて音楽性の高いメロディが魅力で,まる六同様もっと評価されてもいいアーティストだが,六文銭にとっての出発の歌同様,例のミノルタのCMソングで本質とは違うレッテルを貼られてしまった感じがある。何年か前のクリスマスの約束に出演され小田さんと歌われたのが極めて印象的だった。(やっぱ小田さんは判っていらっしゃる)"バイバイグッバイララバイ"。こんな歌作って歌える感性ってどんなんだろう。今年,まる六のマネージャーでもある上田さんとお話をさせて頂いた際,そんな話をすると意外?にも同様の感想をお持ちだったようで"彼の基本はビートルズだから"とおっしゃっていたのを思い出す。18歳で書かれた"悩み多き者よ"にも驚くけれど,あんなおしゃれな曲も書ける幅広さが斎藤さんの魅力なのだと思う。ただ,この日の斎藤さんはあえてか最近の傾向でもある吉祥寺サウンドというか,昔の関東フォークの流れをくむ曲を淡々と歌ってみえた。
そして原田真二さんである。ある面スターらしいオーラを醸し出している。何より唯一マネージャーマネージャーとした感じのスタッフがフォーライフのスタッフに混じってセットアップをしている。登場と同時に少しおとなしくしていた例の一団のボルテージがあがる。お気の毒なのは原田さんで,のりのりのご自分のファンとそうでない我々のようなオーディエンスの組み合わせの中でのライブはさぞかしやりにくかったのでは・・。でもご安心あれ。大半はフォーライフ2代目社長のファン(たくみは・・)である。その社長時代のフォーライフを支えた原田さんを蔑ろにする訳がない。少し気後れしながらも原田ファンに引きづられるように会場は一体感を増していった。新しい発見は当時ベストテンの常連だった彼が,本人の意思とは違う露出の仕方に悩んでいたということ(おいおい,それじゃ2代目社長の頃のフォーライフはすでに既存のレコード会社と同等レベルに成り下がっていたということか?)。そして自らの意思でライブ中心の活動に切り替えたというお話だった。小学校の校歌を作ったり,ライフワーク的に反原爆,平和を願っての国連でのコンサートを続けているという姿勢は,十分に評価できるし好感を持つ事ができた。まあ,この辺りは突き詰めていくと誰もが霞を喰って生きていくことはできない訳だから,表面的な活動だけで物事を判断しては行けないということなのだと思う。
余談だけど,小室さんが昔,東京旅行ということで23区コンサートをされている時,当時のフォーライフ2代目社長がゲストで,小室さんとの掛け合いで"小室さんから社長が(自分に)変わって社内が明るくなった"と揶揄したのち"でもそのうち社長は原田真二になって,俺も23区をコンサートして廻っているだろう"と自嘲した歌詞の歌を思い出した。
さていよいよお目当てのまる六の登場。今日はこへさん曰く"ビリーバンバン"そして小室さん言うところの"二束三文銭"のライブである。
しかし,この日のお二人はまるで"まる六ホットブラザーズ"のように掛け合いの妙というか,原田ファンまで巻き込んでの爆笑ライブだった。何しろ,"はじまりはじまる"からのスタート3曲がイントロを始めて一旦止めてやり直していた。それだけで爆笑だけど,理由がまた小室さんらしい。"はじまりはじまる"では"あの〜ひょとして原田真二さんが終わった後,帰りそびれた方が見えたら"とはじまった。"僕らはあんなパフォーマンスはできないけれど博物館で古いものを見る目でみて下さい"。2曲目は"雨空〜"。これもイントロでストップ。今度は"あっているかどうか不安になるんだよね"。そして3曲目,茨木のり子さんの"12月の歌"に入ると突然ストップして,前のMCの話に戻って"そう結局最初に話していた内容と違うところにいっちゃうんだけど,俺も恒平もひとりだと原田真二に負けないけれど,まる六となるとおけいがいないとちょっと違うね"するとすかさず客席から"頑張れ"のかけ声で大爆笑。小室さんが"今のが原田さんのファンだとしたら,敵に塩を送るようなもんだね"と応酬してまた爆笑をさそっていた。いよいよ異種格闘技が本格的になってきたぞ!。実は前のMCではギター奏法や細かいアレンジについて,"昔どうやっていたか知りたい人は(本人達は覚えてないから)坂崎君に聞くように!"と話されていた。そして"ホントあいつは物事を荒立てるね!(そこは本当はこうじゃないですか?なんて))笑いをさそっていたのだ。
いよいよテンション最高潮。"12月の歌"では主旋律を小室さんが取るように打ち合わせしていたのにこへさんが取ってしまってと突っ込むとそのまま"夢のまた夢"がはじまった。ファンの方ならよくご存知だけど,小室さんはこへさんが作ったこの曲のコード進行は普通では考えられないといつもけなして?いた。(11/9のNACK5でも話されていたけど),その続きがと期待していたら,あっさり"戦場はさみしい"がはじまった。
そして何事も無かったように"サーカス"へ。1コーラスが終わったあたりで小室さんが歌詞を間違えてストップ。ここからが本日のメインイベント。"悪い,でも前(戦場はさみしい)のは恒平が間違えたんだ。あれは打ち合わせでもともと一匹の子豚がって言うのを「子豚が1匹」に変えさせたのに,変えなかったのがいけない"するとこへさんが"変えてなかったんだ"と答えると小室さんは"そうだよ,お前は結局変えないんだ!だから六文銭の解散の原因もお前と俺の確執が原因なんだ,でもそうじゃないっていうけどさ。お前は結局折れないんだよな"するとこへさんはすかさず"子豚が悪いんだよ"これには全員大爆笑となった。
さして最後は,本日のサプライズ。どうせこけるなら一番こけやすい曲でってことで"サーカスゲーム"がはじまった。この曲3人でも聞いたことがない。何しろ5名の六文銭が全員参加して歌うような歌だ。これを小室さんとこへさんだけでっていのうのはいかにも無謀では?案の定ふらふらしながら,最後の所はこへさんが"知っている方は参加して!"のかけ声で,たくみも参加して"フーワ,フーワ"の大合唱で大団円となった。
すでに終了予定の8時半はとっくに過ぎていたが,アンコールのコールに押されて"街と飛行船"で,ホットブラザースの出番は無事終了した。3人でのバランスの良さも魅力だけれど,おじさん二人によるガチンコのバトルも,正直想像以上に緊張感があって面白かった。
異種格闘技としてはじまったこのライブも,全体をとうしてみれば一番近いと思われる同士のバトルが一番面白く,かつ一番異質と思われるものが実は全体で見ると見事なコラボレーションが取れているという新鮮な驚きのあるLIVEとなっていたのが収穫であった。
以上結局長々となってしまった。お後がよろしいようで。
「たくみのまる六&おけいさんLIVEレポート」カテゴリの記事
- 色あせぬものと変らぬもの、そして六文銭'09。(2014.01.29)
- 12月のうた 東京での六の日。(2010.12.07)
- ライブの原点♪ 六文銭の六の日(2010.06.10)
- おけいさんのめざすもの・・2010年の歌い初め(2010.01.11)
- 聖夜の前に おけいさん'09ラストLIVE(2009.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント