冷たい雨が降る神戸は雨の歌が似合うのだろうか・・
今回の神戸行きには2つの目的があった。関西で今ひとつ盛り上がりに欠けると言われるまる六のバックアップ(と言いながら自分が行きたいだけなんだけど)とネットを通じてお知り合いになった方が初めてライブに出かけられるというので,これは是非ともお会いしなくてはと冬至の日,三宮行きの高速バスに乗り込んだ。
今日はおけいさんとこへさんで行く"西の方ツアー"の2日目,神戸は新長田駅に近くにある"サロンド瀬戸波"と言う所が会場である。
三宮に30分遅れで到着したバスだが,冬真っただ中,冷たい雨はその勢いを増しているようだった。チェックインもそこそこに会場へと向う。
そこは外観は普通のお宅のようなたたづまい。地図どおりではあるけれど,入口にある傘の多さを見逃すとドアを開けるのに勇気がいるくらいライブ会場とはとても思えない場所だった。
室内は左右のソファを挟んで2,30名程で満員になりそうである。正面には生花で作られたハート型のリースが見える。それ以外にも所々にさりげないクリスマスの飾りが配置されている。そして何より今日の会場にはPAの設備は何もない。至近距離ですべて生音で聴けるという贅沢なシチュエーションだった。
さて彼は?こちらの風体はメールでお知らせしてあるものの,先方は全くわからない。席を物色している時に声をかけてくださった。想像どおりとはこのことか?そこにはイメージどおりの彼がいた。紹介もそこそこにまるで旧知の間柄のように会話がはずむ。
そして定刻の6時半,2階の控え室からこへさんがおひとりで登場。青いギターケースからギターを取り出して静かにライブはスタートした。
「今日は,まず最近一緒にソングを作っている糸田ともよさんの作品から」とのMC。糸田さんは札幌在住の歌人で,こへさん曰く「歌というと短歌になるのでソング」ということになる。私としては"地下書店"以外は初めて聞く曲ばかりだ。いずれの曲も吟遊詩人の如く,語りかけるように,そして時には激しくこへさんのやさしい声が会場に響く。最後に時間があればとおっしゃっていてCDにも納められている糸田さんの詞による"君は誰かな"を歌われた。
ここでこへさんがおけいさんを呼び込む・・がおけいさんがこない!?。会場にはおけいさんの「天然」を心配する空気が一瞬包んだところでおけいさんが登場。今日の衣装は黒のタートルネックにグレーのロングカーディガンのアンサンブル,黒のプリーツスカート&タイツと相変わらずのスタイルの良さ,マンダラ以来のアイメイクも決まっている感じだ。因みにこへさんは最近定番の"まる六"Tシャツではなく,"KOHE"とネーム入のトレーナーがシャツの下にのぞいている。
チューニングの間に大阪から新長田まで2時間半もかかったお話。どう行っても30分もあれば着く距離の秘密は,どうやら話に夢中?で宝塚まで行ってしまったことが原因のようだが・・。天然&ボケネタがまる六の定番になってきたのは喜ぶべきか悲しむべきか。
まずはおけいさん中心に。こへさんは「おけいが発掘してきた」とおっしゃる旧六文銭時代の曲から,メモリアルに納められている原さんのヴォーカルが何とも魅力的な"長いうた"という名の短い歌。勿論おけいさんで聴くのは初めて。う〜んおけいさんヴァージョンも中々いい感じだ。
続いて"それから"。実は今日初めてお会いした彼とはブログで"それから”を書かれたのがきっかけだ。後でお話を聞くとまさか"それから"が聞けるとは思わなかったと感激されていた。
次は六文銭とは関係ないが小室さんが歌われたスタンダードソングからおけいさんもソロライブではよく歌われる"エデンの東"。4曲目は安斉さとさん作詞,小室さん作曲でおけいさんが参加する前から好きな人が多かった"この大空にすててしまおう"。実は彼も大好きとのこと。彼曰く,今日はこの2曲が聞けただけで大満足とのことだった。ところが,こへさんの説明によると安斉さとさんこと小室さんの奥様は,歌詞自体が気にいってみえないとのことだった。しかし当時からおけいさんのヴォーカルで歌われたその曲はまるでおけいさんのテーマソングみたいに親しまれていたと記憶するのだが・・。
さてここからが「レコードキャンペーン」と言う事でとこへさん。
おけいさんが思わず「えっ,これから」とつっこみを入れるがこへさんはそう言っておきながら,70年代に神戸のラジオ局で"デスク(ディスクじゃなく!)ジョッキー"をしていた頃に神戸に因んだ曲ということでつくった"赤いランタン"を歌うことに。「カラオケにあったらデュエットソングなんだけど」というその歌は,赤い靴の大人版だとのこと。多分,あったとしても難し過ぎて誰も歌わないなんて思うけれど・・(こへさんゴメンナサイ!)
更には何のMCもなくはじまったのは"ガラスの言葉"。おけいさんはメインヴォーカルをこへさんに譲って,ハミングとコーラスに徹していた。どうやら「レコードキャンペーン」はまだまだ先のようだ。
ようやくCDプロモーション?の曲が続く。まずは"雨が振りそうだな"。ここで「まる六って雨からみの曲が多いんだよね。だから今日も雨なのかなあ?」とこへさん。そして「この歌は雨とは無関係」と冷たい雨を吹っ飛ばすように"夏・二人で"。ところが続いての曲はまた雨の定番"雨が空からふれば"。
ここで再び天然ネタ。何とおけいさんは前回に続いて前日の会場であるヒポポにペンケースを忘れ物してきたとのこと。おけいさんはこの症状を「こうへいちゃん化」と呼ぶらしいけど,ほんと美しさがなければどつかれるんじゃないかと心配になる。
そして再び雨がらみで"あめのことば"。本当に今日の天気を予想したかのようにCDからは雨の歌が続いていく。
今日はここまで休憩がないなあって思っていたら,どうやらショートバージョンのようで次の曲がラストナンバーとのこと。
しかし,私にとってはここからが今日のライブの一番の収穫だった。これまでここでも,この曲は純粋におけいさんの為の曲っていうのがなかったので創ったと説明してきたのだが・・。こへさんの説明によると正に目から鱗というか,こへさんがそんな想いをこの歌詞にこめていたのかと思わされる内容だった。28年振りに偶然という名の必然によってはじまったまる六という名のユニット。多分,ご本人達の無意識の意識というものが働いたに違いない。ましてやおけいさんは全く歌の世界と無縁になっていたのだし・・。こへさんの詞には,流行の再結成とは全く異なる3つの"個"を,それぞれの28年を十分尊重した上での,必要な時に集うことによってのみ得られるものを大切にしていこうとする想いが伝わってくる。
その意味でも,まる六として我々の前に登場頂くことの意味を,我々自身がもっと感謝しなくては,もっと大切にしたいと思った次第。こへさんはこの歌には六文銭として解散し,長い年月を経て再び,時々集まって歌いだした時の想いを歌にしたとおっしゃっていた。
"ただあたたかくカラッポに"から
(省略)
ふとたち止まる私の前に
ふとたち止まるあなたがいた
きっと私と同じ目をして
ただあたたかくカラッポに
いっしょに歩いてくれますか
ただあたたかくカラッポに
はげしいばかりの思い出も
愛せるものになるでしょう
今ある日々のしずかさに
心ゆだねているうちに
ふと吐息つくあなたの前に
ふと吐息つく私がいた
きっとあなたと同じ気持ちで
ただあたたかくカラッポに
(省略)
その上で歌詞を噛み締めてみると・・解散への過程を同時代的に間接的にも知る者としては胸が詰まる想いになる。本当にまる六として活動して頂けることを幸せだと思うばかりだ。
アンコールはサーカスゲームのつもりが楽譜がなくて「やっぱり暗い歌になってしまう」とそれでも昔は誰も見向きされなかったけれど30年たってようやく時代が追いついてきたといたずらっぽくお話されて"引き潮"で神戸のライブは幕を閉じた。
主催者からのお茶とお菓子やプレゼントも振る舞われた後に会場を出た時,神戸には冷たい雨が降り続いていた。小室さんはいなかったけれど,まる六の精神だけは冷たい雨の中でも,十二分に私の心には伝わってきていた。
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コメント
まるちゃんオヒサです。
あっちで頑張っていてみたいだけど・・
08年も元気でね。
明日、今池におけいさんが来るんだけど
SOLD OUTらしいので・・
投稿: たくみ | 2007-12-25 11時28分
たくみちゃん メリメリクリスマス。
すてきなイブ よかったね。
投稿: まるちゃん | 2007-12-25 08時22分