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2008-03-16

LIVEのかわりに・・メモリアルを聴こう

この週末、まる六の皆さんが東海地区でLIVEをされている。
金曜日の豊田市(と言っても例の大合併でとてつもなく大きくなった豊田市のこと、足助ってほんとに山ん中なんですよね)から、ある面フォークの聖地、中津川(こちらは小室さんがソロではよくLIVEをされていた?地域では有名な酒蔵),
そして名古屋都心のフォーク酒場(こちらは会社から歩いていける距離だけど・・)と3日連続で開催である。当然、行かねばというところだけれど、色々あって自宅待機している。まあ、一番の理由は場所と時を選ばず襲ってくる大きなクシャミと正に水の鼻水でLIVEにご迷惑をかけないことなのだけど・・急に暖かく(暑いくらい)なって、ましてや杉花粉が渦巻く地区へ行くことに躊躇いを感じたという次第。勿論、楽しみが月末に待っていることも大きいけど。

と言う訳で週末は久しぶりに"メモリアル"を引っぱり出して聴き込んでいる。意外かも知れないけれど、最後の六文銭唯一のスタジオ録音LP"キングサーモンのいる島"から"はじまりはじまる"にセルフカバーされたのは"夏・二人で"だけだけど"メモリアル"からは4曲もカバーされている。更に言えば"はじまりはじまる"がスタジオ録音と言いながら所謂一発取りのライブのような創りなのだが、この"メモリアル"も解体コンサートの代わりに観客を入れた会場での演奏をそのまま収録したもので、レコードにも拍手や小室さんやおけいさんの『テイク2』なんてコメントも入っている。そんな意味で、レビューかわりに聴き比べをしてみたという次第だ。
それにしても、この収録に立ち会われた方からお話を聴くたび、そこにいられたらどんなにすばらしいことかと羨ましさより嫉妬を覚えるくらいだ。そして、すでにその場で引退してしまうおけいさんのことを"もったいないなあ"という声が関係者の間で起きていたということを聞くと、その想いが28年後にようやく叶ったというのもつくづく凄いことだと思う。

Pslx300usb_3もうひとつこうしたLPフリークにとってうれしいのは、レコードプレイヤーからUSBケーブルで直接パソコンに音源を取り込めるプレーヤー:PS-LX300USBがSONYから登場したことだ。これまでだとステレオアンプから外部音源として入力してきたけれど、そもそも最近のアンプにはレコードプレーヤーからの入力端子がないものばかりで、プレーヤーと同じ時期に購入したアンプをひっぱりださなくてはならず、とんでもなく大事になってしまう。これには交換針もついているとのことなので、25800円っていうのは高いのか安いのか微妙だけれど、音源をCDでなくレコードで持っている者には朗報だと思う。(ただしMacには対応していないが!!)


肝心のレビュー前に随分書いてしまった。毎度のことで反省(してないか?)
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※CDには皆さんからサインを頂戴した。LPは持参すのが大変で・・


"メモリアル1"清岡卓行さんの"思い出してはいけない"でスタートする。いきなりの拍手。実はしばらくの間、この曲はマイベストの曲であった。こへさん作詞の曲以前に、いろんな詩人などの詞に小室さんが曲をつけまくっていた頃の曲である。その意味では六文銭というより小室さんの歌という印象が強いか?清岡さんは確か2006年に亡くなられている。変わった経歴としてはセリーグの事務局におられた時"猛打賞"という言葉を創られている。いずれにしてもこへさんがメルヘン的な印象が強い詞が多いのに対し、この頃の曲は文学的(これも陳腐な言い方だけど)なイメージがある。勿論、メインボーカルは小室さん。確かに声は若い。難しそうな青年の声という感じかな。

続いては"夢のまた夢"。小室さんいわくプロには作れない曲。当然こへさんがメインで歌う。しかし、こへさんの声は本当に変わらない。
3曲目は"追放の歌"。休みの国の曲、時代的には新左翼的な響きがあるけれど、こうしてみると六文銭の幅の広さが感じられる。六文銭らしさは小室さんとこへさんのハーモニーの妙か。
そして"それから"。六文銭としての最初のレコードにも収録されている奇人"松岡正剛"の詞に当時のメンバーでもあるB&Bの岩沢さんの曲が哲学的な詩の内容にフィットしている。最近はおけいさんもソロで歌われる機会も多いが、ここではこへさんが歌う。オリジナルは多分、小林雄二さんだと思うけれどオリジナルの方が編曲も含めより哲学的。ここでは奇麗な"それから"という感じだ。
5曲目にしてはじめておけいさんメインの"ネコの歌"。劇中歌でもあるが、おけいさんの声は明らかに20代の声で清々しい。でも最近ソロではあまり聴いたことがないけれど、一度聴き比べてみたいものだ。
そしてA面最後は"はじまりはじまる"にもある"私はスパイ"。う〜ん"はじまりはじまる"版しか知らなければ別だが、個人的には"メモリアル"版の方に引かれる。編曲以上にテンポの違いの意味は解らないがその早さ=若さではあるまいに。実は"夏・二人で"もテンポが随分違うのだが。基本3人によるハーモニーだけど、バランスよりハーモニーの勢いに軍配があがると思う。

B面最初はスパイ物語の挿入歌でもある"へのへのもへじの赤ちゃん"。おけいさん中心にさびを除くとユニゾンのように3人の声がかぶるボーカルとエレキギターのバランスが心地いい。続いてはこへさんのボーカルで"海賊の歌"。別役さんの詩にこへさんの作曲、こちらも転調がポイントか?そして"面影橋から"。こちらは六文銭というよりこへさんの曲という印象が強い。4曲目は"さよならの歌",これも別役戯曲の歌、曲はこへさんということで"海賊の歌"と同じ組み合わせ。
更に定番の"雨が空から降れば"。劇中歌のオリジナルとしてのこへさんボーカル。これは"はじまりはじまる"と同じである。カバーの中では一番類似性が高い。そして最後は"ひとりぼっちのお祭り""キングサーモンのいる島"に収録されていても違和感のない曲でもある。さびの部分での原さんのギターもすばらしいけれど、ある面当時の六文銭の方向性の違いが最も明確になった曲でもある。

続いて"メモリアル2"”長い歌"そして"In My Life"いずれも原さんのボーカル。ギタリストとしての原さんは無論のこと、ソロボーカリストとしての原さんの魅力も見逃せない。ハーモニーとして絡むことは少ないが、味のある声だと思う。
3曲目は"お陽様はどちらからのぼるのですか""ひとりぼっちのお祭り"同様、後期の作品かな?何よりミスタンバリン、おけいさんのリズムとボーカルの響きが嬉しくなる曲である。4曲目は小室さんのLPにもある"リンゴの木"。詩のボクシングのような歌。朗読の代わりに歌うという感じか?
そして異質?な"今日はいい天気だな"。雨が多い六文銭からみの曲の中でも異質だけどクレジットによると(肝心の2の方だけ歌詞シートが見つからない)イラストレータ(小室さんの知人とか)の小島武さんの曲。短い曲が多い中6分22秒の長い歌だ。小室さんメインのボーカルは後の同じく小島さん作詞の"12階立のバス"に通じるものを感じる。A面最後は"まわる"。これに関しては原さんのボーカルは・・・。

いよいよ"メモリアル"の最終面、最初はこれも"はじまりはじまる"に四半世紀を超えてはじめて完全版で収録された名曲"街と飛行船"。この時点では例の部分が逆回転処理されている。しかしラジオのフォーシーズンではそのまま流されているが、いずれにしてもテンポ、ボーカル、演奏すべてが高度に融合してやはり"はじまるはじまる"を勢いと圧倒的な迫力で凌駕していると思う。
続いては短い曲"こわれました"詩は流山児祥、この劇作家と六文銭の関係は解らないが六文銭らしくないと言えばなくもない、でも曲自体は六文銭らしい曲である。
3曲目は"ロック天国"アドリブで"出発の歌"のフレーズが入るそれは、正にLIVEならではの曲と言える。続いて"無題""はじまりはじまる"だけでなく小室さんのファーストアルバムにも収録された作詞作曲とも小室さんの曲。
そして個人的には"メモリアル"内の白眉である"この大空に捨ててしまおう"。おけいさんのボーカルがすばらしいその歌は、最近までおけいさんの為の歌と思っていたのだが、実は安済さとさんこと小室さんの奥様の作であったことを知った。おけいさんには申し訳ないが、ひょっとすると"ホワンポウエルの街"よりおけいさんには合っているような気がする。是非、今後もおけいさんのLIVEで聴きたい曲のひとつである。
そしていよいよ最後の曲はメラニーの"傷ついた小鳥"。ここではこへさんボーカルであるが、おけいさんも最近はよく歌われている。メラニー作ではあるけれど、かぜさんの訳詞とともに六文銭ワールドの曲と言える。

以上LP2枚分24曲。最近のライブ並みの曲数、幸いにもライブ版のような構成なのでMCはないけれどライブに参加した雰囲気だけは味わえたのかなと思う。改めて、無論今のまる六のすばらしさは当然のこととして、35年も前にこの完成度、この先進性、そして魅力的な楽曲を数多く記録した六文銭のすばらしさを確認した次第だ。今後のライブで披露されるであろう楽曲も含めて"はじまりはじまる"に収録されていない宝物の曲を、聴きのがすことがないようにしなくては、そして小室さんやこへさんと違い、ほとんどがライブでしか聴く事ができないソロとしてのおけいさんの魅力的なボーカルもいつの日か、いつでも味わえるようにしたいと思った。金儲けのために乱造される曲より、聴きたい曲を残していけるような仕組みももっと考えないと。

ライブには参加できなかった週末だけど、その分月末には思いっきり楽しんできたいと思う。

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