道東ツアー 釧路編 まるで・・のように
道東ツアーの初日はこへさんの故郷、釧路の芸術館ホールで開催される。
ということは私にとってもおっかけの初日となる。昼過ぎに着いた釧路は予想に反して(もともと雪は少ないそうだが)機上から眺める限り積雪は確認できなかった。降り立ってもここが北の国なのかと拍子抜けするほど、寒さを感じない。・・しかしこの後暖冬気味の北海道に春の寒気を運んでくる女神がいることをまだ誰も知らない?そう今年1月にも爆弾低気圧とともにやってきた雪の女神が・・。
釧路について3時頃、今日の会場の確認を兼ねて釧路川近くを歩いていた。そうしたらどうだろう見かけた姿が。すっかり釧路の風景になじんでいたこへさんだった。"おう”って声をかけて頂き、そのまま会場に向かった。こへさんによるとくだんの雪の女神と小室さん達の釧路到着は確認されていること。まもなく会場入りするが今はホテルで休息中であるとの話をしながら芸術館ホールに着いた。
会場では音響さん達がセッティングの真っ最中。ここでこへさんは小室さんやおけいさんのパートで声色を使いながらひとりまる六で返しやアンプレベルなどの音響チェックを進めていく。手慣れたスタッフがこへさんの指示に従って作業を進めていく。肝心の会場はステージが最下面にあり、背後に行く程緩やかな傾斜が着いたとても雰囲気のいいスペースとなっている。これ以上いては単なるお邪魔虫となるところで、こへさんにご挨拶をして会場を出た。
するとどうだろう。外は寒気による海霧で夕方のような薄暮の雰囲気に。何より空気がつんと冷たくなっていた。これぞ釧路かと思いながら駅前のホテルまで歩を進め、遅すぎる昼食を探していた。
(早くコンレポを!わかってます。もう少しの辛抱お願いします)
すっかり夕闇と寒気が覆った頃、足早に会場へ向かった。とにかく静かな街である。会場付近に近づいても人の気配が感じられない。ところが中に入ってびっくり。建物内には会場に入るための行列が続いていた。
そして会場に入って更にびっくり。釧路にこんなに人がいたのかと思う人ですでに満席状態(満席であることはお聞きしていたし、一応席だけは確保して頂いていた)。立ち見間違い無しの状態だった。
定刻を5分程経過したころ、まる六の登場である。いつものこへさんと小室さん。そしておけいさんはめずらしく黒のパンツスーツ。白いTシャツの上のジャケットには春を感じさせるミモザのコサージュ、そしてゴールドのネックレスとイヤリングが華やかだ。なんとなくだだっ子二人のおかあさんという雰囲気。
さて六文銭時代も含めて最初の釧路とのこと。その意味もあるのか"はじまりはじまる"で釧路のライブは始まった。続いては"雨が空から降れば"実はお決まりのようにはじまりはじまるが前奏部分で一旦ストップ。すでにこへさんとの神経戦は始まっているようだ。
2曲終わった時点で小室さんは"今日は閉館時間が決められているので、プログラムにある曲はやるつもりだけど、かわるかも知れません。また休息無しで行います"とのこと。ここからが小室さん一流のお話"まあ、聴いて頂いてお判りだと思いますが、途中1、2曲聞き逃しても似たような曲なのでご遠慮なく、トイレや咳を遠慮せずに行ってください"と。更に"六文銭時代から、盛り上がる曲はあんまりなくて、どちらかというともり下がる曲が多いですから"と笑いを誘っていた。
これを受けてこへさんが”その中でも、これからの2曲は比較的テンポがいい曲だけど"と言って始まったのが"あめのことば"。うん、おけいさんの声の調子もよさそうだ。それにしてもとぼけた話やかけあいの間もすでに芸術の域とは言え、歌のパートになって紡ぎ出されるオーラのような響きは何と表現すればいいのだろう。驚くことに常時3名で演奏している訳ではないのに、あらかじめ神様がセットアップしていたの如く夢のハーモニーが続いていく。確かに我々はお3方の演奏を聴いているのだが、ステージ上ではそれぞれが別に歩んでこられた何日間、あるいは何年間を確認し、その進歩や衰えの部分を探りあい補完しながら、その瞬間に一番ふさわしい音を求め合っているように思える。まる六が六文銭時代から数えて28年後のものであっても、それは一緒に演奏していなかった何日間の延長のような感じで何の違和感もなくその日の音を作り上げることができるのだと思った。
さてここでこへさんが”知らないと思うけどこの曲のテーマって釧路なんだ"。思わずそう言わればとうなづくお二人にこへさんは"そこの部分は横浜だけどね"と話が少し噛み合ないまま"雨が降りそうだな"が始まった。
更に続けて"実は僕はもう何日か前から釧路で遊んでました"と話すと、おけいさんが"踊ってたの"って突っ込む。そしたら"君だって踊れるんじゃ"って返すとおけいさんがお得意のタップダンスを披露する。実はこんな他愛のないやり取りも、小室さんが突然始めたギターの調律の間を繋ぐテクニックでもある。恐るべし3人の連携プレー。
そして小室さんが"さあ、ここからもり下がっていきます"と言って"引き潮"が始まった。
続いて"君は誰かな"。この歌については札幌でこへさんにお聞きした話と合わせてその回に書く事にしよう。
そしてこの日アンコールを除くと唯一"はじまりはじまる"に納められていない曲"いのちかえす日"。更にまる六後のまる六のために作った曲との紹介で"ただあたたかくカラッポに"と続く。
続けてMC無しで"夏・二人で"。おけいさんがすかさず曲名を紹介。こへさんが六文銭に参加したきっかけの曲として"私はスパイ"を演奏する。2回に1回はつっかかるこの曲も今日は無事に通過する。
"少し盛り上がったところでまたぐんと下がる曲をやります"と言って"戦場はさみしい"の曲名を紹介したところで、ふと思い出したように"実はこの曲もそうだけど、昨年出したCDに収録されているんだけど"と話だすと小室さんが"偉い!"とおけいさんと共にこへさんに向かって深々とお辞儀をした。そうプログラムにもはじまりはじまる発売記念と歌ってはあるのだけど、それをちゃんと覚えていたこへさんへの尊敬のお辞儀ではあった。
このCDで初めて完全版として収録されたとの紹介と共に"街と飛行船"がはじまる。この辺り時間の関係もあるのか、畳み掛けるように曲がすすんでいく、拍手とともに"面影橋から"。
ここで小室さんが"人格が変わってついてこれない方が見えるといけないので、MC無しでは始められないと言って"スタートしたのが"樽を転がせ"。終わった後もトークは続き、幹郎さんの詩の意味の解説に最後の"今宵の月は今ここに"の意味をこへさんと話ながら"詩人だからわかるよな"って挑発。因みにおけいさんは"『月様雨が〜』の感じだと思った”ととのこと。実際には結局手にもったさかづきの中に月があるとの説明におけいさんは"言わなきゃよかった"と。
終焉に向かって曲は更に続いていく。
"おしっこ",そして最後の曲として、佐々木幹郎さんの詩をベースにとの説明で"石と死者"が披露された。
拍手からアンコールの手拍子に変わって、まる六が再登場。何の説明もなく"サーカス"が始まった。意外なことに手拍子が続いている。この歌の手拍子はかなり高度になっていくはず。はっきり言えば決して手拍子が似合う曲ではないのだが・・釧路のオーディエンスは手拍子をせざるを得ないほどまる六の世界に引き込まれていったということなのだろう。
そして本当のオーラス"無題"で道東第一夜は幕を降ろした。
閉館までの時間を惜しむようにCD購入者にお三方が並んでサインをされていた。同窓会共催ということもあり、サインの途中でいろんな会話が飛び交っている。道東最初の夜はこのあと、楽しい打ち上げが待っているのだろう。しっかり英気を養って後5日間頑張ってくださいと思いながら会場を後にした。
外はすっかり冷たい闇が覆っていた。しかし、北海道の室内は内地と比べ異常なほど暑いように、帰っていくみなさんの心の中も、まる六の世界感でまるで懐炉のようにじんわりじんわり暖まっているようだった。
さあ、夜は何をたべようかな?こうして私のおっかけの旅の初日も終了した。
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