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2008-04-05

道東ツアー 帯広で感じたまる六の価値

あらかじめお断りしなくては、これはあくまで私の考えで、それを他人様に強要するつもりは全くありません。こんなこと何故書くのって、世の中団塊世代のフォークなら何でも派の皆さんとは全く話が噛み合ないので・・

さて鶴居をパスして釧路湿原をレンタカーで回っていた。鶴居は鶴居で丹頂鶴に会えたり、LIVEの会場でもある立派なふるさと情報館も見学できたのだけど、私にとっての収穫は曲がりたいように蛇行する湿原内の川と当日、帯広に向かうバスの車窓からみた地平線まで伸びていく四角いあぜ道のない地形そのものを活かした広大な畑だった。
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何か知らず知らずの内に決められた枠の中に収まることが、あるいは枠があることでその中に息を顰めて安住している自分に気づいた時、今一度そこから飛び出す自由を身につけないと生きている価値さえないのではと・・。まる六に触れるたび、そんな自分にはっぱをかけられているように思っている。13248624_2820873181s
     
28日の昼頃、バスは帯広駅に到着した。十勝平野の中心に位置するこの街も、札幌と同じように格子状に道路が街を覆っている。何やら、自由?な畑とは対照的な趣きだ。そんな北の大地の街を線路が斜めに横切っていた。
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話が横道にそれてしまった。こへさんの作る曲の広がり、透明感ってやはりこの大地があってこそではないのかなと思った。無論、十勝平野と言えばもうひとりの北海道を代表する歌手の生まれた街がある。好き嫌いをこえて考えるとそのまま、見えるままに歌い上げるのがかの歌手であるとすれば、こへさんはその心の底辺にこの大地のパワーを感じさせる何かがあると言うことか?

13248624_2148287208sさて道東3日目は、このツアー唯一、プログラムにも地元のアマチュアとの競演となっている。それもあるのか開始は18時、楽器店横にあるLIVEホールはまる六の登場を待つ他の会場とは別の違った熱気が覆っていた。
誤解を承知で言えば、これは私にとってのまる六のシチュエーションとは違和感がある。音楽だから、理屈抜きで楽しめばいいというのも正論だし、それに異を唱えるつもりはないが、まる六は決してノスタルジックバンドではない。懐かしのフォークを自分達の趣味として歌うことはいっこうにかまわないけれど、まる六は昔のヒット曲を引っさげてどさ回りするユニットとは全く違う存在であることをちゃんと理解して欲しいと思った次第。
とにかくこのユニットのすばらしさ、先進性、艶っぽさ、そして内包された危険性!?はそんな小さな枠に収まる,否収まらせてはいけない、もっと大きなフィールドで活躍して欲しいユニットであるし個々のパワーだと信じてる。そんな想いでのあと押しなら大歓迎だけど、自らのノスタルジックに浸るためだけに聴いて欲しくはないと(少し熱く)思ってしまった。
決して帯広のLIVEがどうこうということを言いたいのではない。それはそれは素敵な魅力的なLIVEだったけど、皆〜さん、まる六はあなた方が感じたよりも、もっともっとすばらしいユニットであることをわかってくださいねって叫びたい衝動にかられていたのは事実である。
            
何やらLIVEの中身に入る前に結論めいたことを書いてしまった。しかし、みなさんそんなこととは無関係にとっても楽しいLIVEでした。
3組のアマチュアに続き、19時15分、まる六のお3方がステージに登場した。おけいさんは釧路と同じ黒のパンツスーツながら、スーツの下はシャツブラウスに替えられている。もちろん胸には春を感じさせるミモザのコサージュが。
小室さんのまる六誕生のいきさつから語り始めたMCは、なんとなく初めてまる六を聞く人達に語りかけるような感じだった。

1曲目はこのツアー定番の"はじまりはじまる"。続いてギターのアレンジが少し違う感じで"雨が降りそうだな"と続く。最後の最後で小室さんが歌詞を間違えて・・小室さんが3日間の失敗の懺悔をされるとおもむろにステージを下がっていく。すかざずこへさんが、話を引き継いでリクエストがあった曲ということで歌を始めようとするところへ小室さんが戻ってきた。こへさんは予想より早く戻ったこともあり、どうしようか迷っていると、小室さんがやったらのサイン。そして始まったのがなんと"私の家"である。原さんのボーカルが耳に染み付いている感じだが、こへさんの歌っていうのも違った味がある。最後の転調のところで小室さんもギターで絡もうとしたが、半音でなく1音あがる転調は想像外だったようで・・"そりゃ無理だ"と。

手拍子が加わって"あめのことば"がはじまる。終わったところで、小室さんが歳の話。どうやらステージ上の照明が熱すぎたようで、先ほどのステージを降りたのは熱すぎて上着を脱ぎにいかれたようだ。"何しろ賞味期限がないので"と言うことでステージ上のスポットが少し落とされた。次の"引き潮"の紹介があってから、本日のメインイベント、CDの話がはじまった。まず18曲にもなってしまった経緯に続いて、このCDは所謂一発取りであることを紹介して"へたなところはよりへたに",そして"音程が狂ってもそれを誤摩化すことなくそのままに"してもらったとの話。先ほどの釧路湿原の蛇行する川のごとく、"ミキシングなど後処理で体裁よくすることで確かに包装紙は奇麗になるけど、肝心の中身、うまみ成分がなくなっちゃうんだよね"と。こんなところでさらりと本質的な話をされる。ほんと油断も隙もあったもんじゃない(笑)

小室さんがチューニングを始めるのを受け取ってこへさんがMCを続ける。チューニングが終わった頃を見計らって"夏・二人で"。気の性か、それとも道東3日目ということで海の幸の栄養が行き届いてきたのか、今日の演奏全体がいつにもまして音の厚みが増しているように感じる。

そして、まる六定番の"ただあたたかくカラッポに"の紹介が入ったところで観客席から"おけいちゃん!"の大きなかけ声が。これには一瞬みんながびっくり。小室さんが"年寄りなんだから、びっくりして心臓が止まっちゃうよ!"と。どうやらそれでギターの弦が緩んだ?のかイントロが済んだところで演奏ストップ。こへさんとしばらく音合わせ。改めて演奏がはじまった。続いて21世紀の反戦歌として"おしっこ"。小室さんの"戦争反対!って叫ぶのって戦争しよう!っていうのと同じみたいでどうもしっくりこない"というのに賛成。声の大きさが意思の強さではないものね。と言いながらもノリノリのこへさんは"今日"だけのバージョンで"おしっこ"を歌う。
前半最後は、おしっこに続いてまる六らしい反戦歌"戦場はさみしい"。想像だけど、間違えたら間違ったままでといいながら、実はその場、その場での微妙な音づくりに腐心しているまる六は、正にこれこそがプロということを、帯広のオーディエンスに知らしめようとしているように感じた。

そして小室さんらしい気遣いで主催者側の売り上げ促進を計る言葉で前半を終了した。(フラッシュ無ではさすがにブレが大きい)
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後半は"雨が空から降れば"で始まった。同じスパイ物語からという紹介で"私はスパイ"。後半3曲目も芝居シリーズと言うことで"街と飛行船"。芝居シリーズの最後はこへさんファンには絶大なる人気を誇る"面影橋から"。演奏が終わると"おけいちゃん"の主が"こうへいちゃん、いい"のかけ声が・・。

いよいよオーラスに向かって曲が続く。"石と死者"
続いて"サーカス"。そして最後は"サーカスゲーム"だった。

しかし、この日最大のハプニングはアンコールで起きた。
最後の拍手が手拍子に変わって再登場したまる六のMC無しで始まったイントロにびっくり。それは"出発の歌"だったのだ。さすがに?そのまま終わるわけにはいかず、オーラスのオーラスは"無題"で帯広のステージは終了した。

正直なところまる六で"出発の歌"が聴けるとは思っていなかった。以前より小室さんは"あれは条さんがいての歌で六文銭の歌ではないから歌わないよ"とおっしゃっていたし・・ふと私の六文銭バイブルである"フォーシーズン"の1シーンが蘇る。それは解散を決めた後のコンサートで当時20代の六文銭のメンバーが"出発"を歌うかどうかを議論している。基本的には歌わない結論の時、条さんが現れ、"俺はひとりでもいいよ。無理して歌わなくてもいいよ。でもお客は聴きたいだろうね"とポツリ。それを受けて当時の小室さんが"やっぱり条さんいいこと言うわ"と言うことで営業として歌うことにした下りが・・。同時に同じシーンではないが当時のこへさんが"あのままテレビで出続けていたら("出発"を歌っていたら),僕たちのレコード(キングサーモンのいる島)出来なかったものね"との言葉が頭の中を駆け巡る。そして何より、私にとっても"出発の歌"は大好きな大好きな六文銭がやがて解体に向かっていくきっかけとなった歌というイメージが強い。その意味でも聴くだけで演奏されている皆さんの想いを勝手に想像してしまい"せつなく"なってしまうのだ。せめてもの救いは"出発"で大団円で終わらず、"無題"で冷まして終わるというところでバランスを取っているのかな?。会場のファンの期待に応えようとする想いとまる六としての微妙なバランスをみた想いである。
     

13248624_3720671037sいつものように最後はお三方が並んで、CD購入者にサインをされていた。終わりがけに小室さんに"びっくりしました。でもサービスのしすぎじゃありませんか?"って声をおかけすると、小室さんはにっこり笑われていた。
さてさてこの続きは明日の札幌で。

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