道東ツアー 札幌でもどこでも武道館
※道東ツアーに出かける前は母が植えた桜は莟だったのに今では・・
今回の道東ツアー。確かに春まだ遠い北海道とは思えないほど寒さを感じることは少なかった。雪は2日目の鶴居の夜に一気に降ったが、それさえも十勝平野では昼になると溶けてなくなる程度だった。だから、大都会の札幌となると・・ところが札幌が一番寒くなろうとは。雪こそ降らなかったが体感温度は一番寒かったような気がする。
今日の会場は伝説の?居酒屋”拓郎"。これまでの会場と異なりまる六の皆さんも初めてではない場所だ。偶然なのか小室さんも丁度1年前に来店されていたとのこと。こへさん、おけいさんは1月に続いてのLIVEである。
場所はすすきののはずれと言おうか、いずれにしても繁華街の中心である。昼過ぎに列車で札幌に着き、昼飯がてら会場を探しに出かけた。う〜ん風が冷たい。花粉症はないものの風邪と区別がつかないくらい体調もよくない。おっかっけるだけでこれだから、まる六の皆さんはもっとハードなはずだけど恐るべき180歳トリオである。
札幌は追っかけ最終地である。無論この後まる六は旭川、名寄と回るのだけど4泊5日のおっかけツアーとしてはこの札幌が目的地となっている。
そして、札幌ならではの楽しみもいくつかあった。何より何人かの方々と初めてお会いできる予定になっているし、これまでの会場と違い、ライブの打ち上げも(もちろん1次)も流れで行われる予定だ。釧路、帯広では挨拶程度しかまる六の皆さんとお話できなかったが、今日はゆっくりお話するチャンスがあるかも知れない。
定刻は遅めの19時半、それでも待ちきれず7時には"いざたく"のステップを降りていた。ところがである、ドアを開けるや、否そのドアさえも閉まらない程、すでに人で溢れかえっていた。とにかく、店のレイアウトが全くわからないほど人の波である。一応、予約者は席というかスペースが確保されているということで人をかき分けて奥へ入っていった。そこには畳2帖ほどのステージらしきスペースはあるもののそれ以外は人、人、人である。スペースと言ってもどこに行けばとウロウロしていたら"タクミ君こっちへおいでよ"とこへさんの声。またしても地獄で仏いや"いざたく"でこへさんである。そこには、おいでになれないとお聞きしていたIさんがご夫婦でおみえになっていた。こへさんにご紹介頂いてご挨拶。こんどはIさんにKさんの場所をお聞きしてご挨拶と何とか目的を達することができた。お二人とも初めてお会いしたのだが、想像どおりというか繊細な感じの素敵な方々だった。しかし、この状況ではゆっくり話をすることもできず、まずはLIVEが終わってからとなる。
さて、私の日記を読まれている方はお気づきだと思うが、この"いざたく"、荻窪の"落陽"と並んでかの方の聖地ではある。そのものズバリの名前からをわかるようにその思い入れはこちらの方が大きいのかも知れない。基本的に店内で演奏されるのはかの方の歌だけという徹底振り。そんなところへこへさんが道場破りのごとく、LIVEをやらせてくれと言って開拓した会場とのことである。
原理主義者としては(笑)少し身構えなくてはならないのだけど、そんな想いを吹っ飛ばすくらいの熱気が会場を覆っていた。何しろ演者と最前列の客との距離は20、30cmあるかないかである。(ローカルルールは前の日記をご参照)
前座は"いざたく"が誇る店長自らがひきいる"まるで新六文銭のように"。何しろ3人だけど柳川ヒロ、チト蒲田、後藤田次利、小室ひろしという怪しいメンバーでの演奏である。"本来のリードギターは技術的に問題がある"ということでメンバーでない小石川鷹彦さんが加わるということで、わかる人にはわかる抱腹絶倒のMCでスタートした。3曲演奏されたが最後の曲は"ミスターK"当然小室さんをイメージした曲だが、ひょっとして"おけいさんのKかな?"なんて話になったがこれには続きがあるけどそれは後で。いずれにしても釧路や帯広に比べて随分ディープな演奏、曲であった。
さてさてまる六の登場である。ハイライトは一番最初にやってきた。小室さんの第一声は"今晩は!武道館へようこそ"だった。自分にとってはこうして歌った反応がダイレクトに帰ってくるところが好きなんです。"だから、ここが僕の武道館です"と話されて"いざたく"LIVEはスタートした。
おけいさんはこれまでの会場と異なり、黒のチェニックに細身のジーンズという見慣れたファッション。いずれにしても何を着ても似合うスタイルの良さがある。まずはこへさんが"いざたく"開拓のくだりを説明し,かの方との関係を説明する中で"ガラスの言葉"のさわりを演奏する。続ける,続けないの微妙な駆け引きですでに探りあいははじまっていた。
最初の曲は"はじまりはじまる"。イントロが昨日までと違う、表情が見えない場所なので微妙な部分はわからないがストップするかなって思ったら、そのままはじまった。続いては"雨が空から降れば"更に"あめのことば"が手拍子と共に演奏された。
こへさんのMCで最初は新六文銭の演奏でレコーディングしたという"雨が降りそうだな"。聴き比べをしたわけでないが、まる六の歌として完全に昇華していると思うのだけど。そして"引き潮"こへさんの曲だけど、小室さんのお気に入りの曲でもある。ダブルリードボーカルのように歌われるそれは、何か競っているようでもあり、それそれの解釈をアピールしているみたいで面白い。一度小室さんとこへさんのパートを入れ替えて聴き比べたい曲のひとつだ。
続いては札幌在住の歌人"糸田ともよ"さんの歌"君は誰かな"。当日ご本人もおいでになっていたのだが、ご本人の希望もあって特にご紹介はされなかった。こへさんにお話をお聞きすると"本当はもっと静かに演奏したいんだけどLIVEだと聞こえないからね。"とにかく、小室さんとこへさんの音作りに対しての拘りは凄いものがある。お聞きすればするほどその深みにどんどんハマっていく。
ところが、こへさんのMCのころからチューニングしていた小室さんだが、曲が始まってしばらくしてストップさせてしまった。すかざずおけいさんが"このままやっていくとできなくなっちゃうんですよね"とフォロー。しばらくして無事演奏が始まった。繊細故の繊細な拘りがあるようだ。
"君は誰かな"の繊細さに引きずられたのか続いて演奏されたまる六の定番曲"ただあたたかくカラッポに"は、おけいさんのヴォーカルがいつになくしっとりと響いてくる。
そして前半最後の曲になる前、だいたい小室さんは1本予備のギターを用意されている。地方へいく場合は地元の方のギターをお借りしたりするのだが、今日用意されていたのは"いざたく"ならではの嬬恋モデルとか。ここで"新まる六"の話題に戻って、おけいさんが"そう言えば私のことをミスターKかって言ってたよね。もし私がミスターだったら面白いね?"って話たらすかさずこへさんが"そしたら僕すぐ止めるよ"と言って大爆笑となった。しかしミスターではありえないけどあの変わらない美しさはひょっとして宇宙人かも知れないけど。こへさん宇宙人ならいいですか?
こんなやりとりの間も小室さんはチューニングに没頭して"夏・二人で"がはじまった。まる六の最近っていうのは10年前までOKだそうだが、この歌は35年程前の歌だ。ちょうど神田川と同時代の歌だけど、単なる懐メロになったかの歌と比べると今瞬間の原風景でも瞬間切り取れるこの歌のパワーには脱帽せざるを得ない。ある面まる六の歌の凄さを感じさせるものでもある。
ここで休憩。ありがたいことにまる六のみなさんの控え席で休息中お話することができた。やはり皆さんかなりお疲れのご様子。地元のこへさんはまだまだ余裕のようだけど、小室さんはけっこう一杯かも。因みにプログラムを考えるのはこへさんの役目だそうだけど、小室さんは""樽を転がせ"を入れたら明日もう帰るよ"って笑ってみえた。
さて後半、何やら動きが慌ただしい。今や3人の公認介護士役?のゆいさんがステージ横に控えている。そして後半最初の曲は状況劇場、唐十郎さんが歌ったと言われる"ジョン・シルバーの歌"。出会いの様子から話されて小室さんが唐十郎風に歌いますといってスタートした。
続いてMC無しで"戦場はさみしい"更にたたみかけるように"街と飛行船"と重い歌が続いていく。そしてこの流れの締めとして"面影橋から"がはじまった。途中からこへさんが"一緒に"と言って会場も一体となって歌いだした。小室さんは演奏しながら目を白黒、これは何かあるなと思っていたら、終わるや否や"すごいなあ、この歌がこんなことが可能なんておかしいよ"そしてこへさんが"みんなが乗っていたんで"というと"そうだとしてもさ、誘う方も誘うほうだよ ”って最後まで納得できない様子だった。
ここで本日2回目のサプライズ。スパイ物語の紹介から中津川の話になって、ついにはステージにゆいさんを呼び寄せて即席の楽団六文銭を誕生させた。ここで"私はスパイ"が4人で演奏される。ゆいさんはおけいさんとユニゾンの感じでハーモニーに加わっていく。お約束の演奏ストップと"俺だっていうのはわかっているよ"ってすねてみせる小室さん。結局、アンコールまで楽団六文銭ですすんでいくことに・・
"おしっこ"そして"石と死者"がまる六+ゆいさんでより厚みを増したハーモニーで進んでいく。もうすっかり"いざたく"はまる六の世界に包まれていた。ラストは"サーカス"で終了した。アンコールは"サーカスゲーム"フーワ、フーワで大団円。メンバーの紹介もあり実質的にはここで札幌LIVEは終わったのだろう。そして一瞬の静寂の後、あのギターの音色が・・。あ〜やっぱり"いざたく"でもやるんだという想いで"出発の歌"がはじまった。そしてやはり静めるための"無題"で本当の終焉を迎えた。
終わっちゃったよっていうのが最初の感想だった。実はこの後、ツアーで一番充実した時間が過ぎていくのだが、それはオフレコで・・
ある面、私の宝物のような時間であったので。
このツアー、まる六を追いかける中での自分探しの旅でもあったが、いろんな方にお会いすることもできたし、偶然にも同じ年のKさん(男性の方)ともお話することができた。ありがたいことに私の日記を時々読んで頂いているそうで、恥ずかしい限りでもある。
ほんとはツアー全体を纏めて書きたいのだが、いろんな想いが交錯してまとめることができない。それは番外編まで待って頂こう。
私はこれで終わりだけれど、お三方+ゆいさんは後2回のライブが残っている。旭川でも、名寄でもその場を武道館に変えてしまう、魔法の力を存分に楽しんでもらいたいと想いながら"いざたく"のステップを上がっていった。
自分探しはまだ道半ば、やはりまる六にどこまでもついていきます。そんな想いをより強くした4泊5日の追っかけ一人旅だった。
「たくみのまる六&おけいさんLIVEレポート」カテゴリの記事
- 色あせぬものと変らぬもの、そして六文銭'09。(2014.01.29)
- 12月のうた 東京での六の日。(2010.12.07)
- ライブの原点♪ 六文銭の六の日(2010.06.10)
- おけいさんのめざすもの・・2010年の歌い初め(2010.01.11)
- 聖夜の前に おけいさん'09ラストLIVE(2009.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント