徳島LIVE 最高のコンビに・・
5月最後の土曜日、週末のみ運行されるという高速バスを利用して、
おけいさんのソロLIVEが初めて行われる徳島へ0泊2日弾丸ツアーへ出かけた。
片道6時間(走行は実質5時間)のルートは特にチェックしなかったが、季節柄?翌日からガソリンがついに170円/L超の日に道路特定財源を最大限に活用した第2名神をかすめ、悪名高き本四架橋のひとつである淡路島ルートを通って徳島に渡ることになる。36名乗りのバスの乗車率は約60%、6600円の運賃で換算すれば約13万円で運行される計算だ、因みにその日の帰りは8名程の乗車!だったから(徳島23時発名古屋へは5時30分着)果たして商売としてペイするのかどうか。
※写真はまず淡路島上陸から鳴門の渦潮(小さい!)そして徳島と言えば板東英二否、大塚製薬である。
さて、日本の道路行政の明暗を享受して2時に徳島に到着。しかしLIVEまでは5時間半もある。観光目的ではないので特にあてもなく、本日の会場を確認がてら遅い昼食をとっても5時間近く残っている。えいままよと徳島市内を散策することにした。今日の会場は市内を横切る吉野川の支流、新町川にかかる両国橋を渡ってすぐ、徳島の繁華街の入り口近くにあった。地図がないといつものように通りすぎてしまいそうな小さな看板をたよりに二階に上がったところにあった。とは言え時間はまだたっぷり、繁華街を抜け阿波踊りで有名な新町通りから眉山のロープウェイ乗り場まで歩く。眉山と言えば、さだまさし原作の映画に"眉山"ってあったっけ。主演のひとりは宮本信子さん、この方は名古屋出身である。坂東英二といい、結構徳島と愛知県って縁があるように感じた。実は旧徳島藩主は秀吉の一夜城で有名な蜂須賀小六とのこと。彼が藍染の産業を起こしたり、あの阿波踊りもその時代から始まったとのことだった。
※会場の看板とその周辺(土曜日の午後とは思えない)
地方都市の例に漏れず、オフシーズンの徳島はやはりシャッターが似合う街でもあった。その淋しさとオンシーズンを予感させる数々のオブジェはある面、明暗のコンビネーション=冷戦後もアメリカについていくことしか知らない馬鹿官僚と小泉/竹中ラインの遺産のようでもあり、その対比こそが国の無策に疲弊しながら瞬間芸でしか生き残れない地方都市のオブジェのように思えた。
※眉山の阿波踊り会館&ロープウェィそしてポストにもオブジェが
少なくとも国益という言葉が霞ヶ関にあった時代から、永田町同様に私益私腹しか考えない時代になって何年になるのだろう。それでも怒ることさえ忘れてしまった国民、70年代の日本人は自分自身のことだけでなく、社会の矛盾、理不尽さに心底腹をたて行動していたはずなのに、国民自身も自分さえよければという(あるいは"自分だけが")意識が染み付いてしまったのか?これが競争原理、民活、勝者と敗者のある社会の結末なのだろうか?またぞろうごきだした小泉はこの問いに答える義務があると思うのだけど。
※会場近くのオブジェとツバメの巣(一番の繁華街なのに)
おっといけない、いつにも増して前置きが長くなってしまった。まあ、これもコンサートレポートとコラムのコンビとしてお許し頂きたい。
さて7時過ぎ、先ほどの看板をたよりにやや急な階段を上がっていった。
入り口で料金を払い会場へ。比較的ゆったりとしたレイアウトながら50人は入りそうな雰囲気。初の徳島ということで心配されたけど、オープニングアクトのドラスさんからおけいさんへバトンタッチする頃には満席になっていた。
"今晩は、初めまして"の一言からおけいさんのライブがはじまった。徳島は数十年振りとのこと、残念ながらMCからは六文銭時代なのかどうかまでは判らなかった。
"へのへのもへじのあかちゃん"そして"それから"が今日のLIVEのオープニング。最近の定番のスタートだが、いずれもおけいさんが参加するずっと前からある曲だ。おけいさんも古い曲と新しい曲を織り交ぜて歌うと話されている。
今日の会場の雰囲気は、やはり平均年齢はやや高め、最前列には団塊世代のおじさま達がかぶりつきのように詰めている。
受けて立つおけいさんは、相変わらずのスタイル良さ、細身のジーンズに白のタンクトップと花柄のブラウスのアンサンブル。ネックレスもゴールドのペンダントタイプのネックレスと大玉のネックレスのコンビネーション、そして胸元の素肌のパウダーが照明にキラキラ光っている。これだけでおじさんは完全にノックアウト状態。
何より今日のオーディエンスの多くはソロのおけいさんは初めての体験らしく、開演前のお話に聞き耳を立てていると○○さんの○○とか、フォークだからという方が多いみたい。まあ、それは仕方のない所だけど、とにかく懐かしさやものめずらしさではない今のステキなおけいさんの歌を楽しんで、認識して欲しいと思う次第。多分,出だしの2曲ですでにおけいさんはいい意味での裏切りをしているみたいだった。
3曲目は記憶違いでなければ3回目のOK's SQUAREがテーマが"夢"で事前にリクエストを募集していた際、私がしたリクエストに応えてくださったものだ。オリジナルはアルフィ-nの前身のコンフィデンス。白石アリスさんの詩に小室さんが曲をつけたものでお蔵入りになった映画の挿入歌"昼下がりの夢"。最近よく歌って頂けるのはうれしい限り、最近ではすっかりおけいさんの歌になってきた。
しかし、最近のおけいさんのMCは安心して?聞いていられる。落ち着きという訳でなく、天然さも計算づくで、なんとなくこちらも師匠の小室さんゆずりなのだろうか?ところで今回の西日本ツアーの前日、今はご親族も住まわれていない生家を訪れて懐かしい品々を見つけられたとのことだった。故郷へ戻られたというのも影響しているのか、とにかく今日のおけいさんは笑顔がはじけて、元気いっぱいという感じだ。
続いてはおけいさん初の作曲"ホワンポウエルの街"そして最近あまり歌われていなかったオリジナルの"ひとときの夢"
MC無しでこれも定番の”サークルゲーム"。常富さん訳のこの曲、すっかり日本語の歌詞がおけいさんのオリジナルソングのように一緒に口ずさめるようになっている。そしてもうひとつ海外の曲だけど、メモリアルではこへさんが歌っていたメラニーの"傷ついた小鳥"。こちらの訳は確かかぜさんのはず。
前半もいよいよ終わりに近づいてきた。ここで歳の話、先ほどからおけいさんは1曲ごとに屈伸運動をしている様子。どうしたのかなと思っていたら、どうやらステージ上にセットリストの紙が置いてあるのだが、見づらいので屈伸した際に確認していたようなのだ。でも、老眼なら遠くは見えるはずなのでちと違うような・・。
ここで香真良さんに歳の話を振るとハプニングが。でもそれは一番最後に。
"この大空に捨ててしまおう"そして前半最後はオリジナルの"うれしくて"。この歌、まさに歌い始めた喜び、いろんな方に出会える想いをおけいさんが歌にしたものだけど、今日はまさにその歌どおりの展開なのか、自然に始まった手拍子におけいさんも歌いながら感激の面持ちのように見えた。
約10分の休憩開けは最近のセットリストに合わせて"はじまりはじまる"から、
更に続けてアップテンポのオリジナル"かざくるま"の2曲で始まった。
CDから続けて2曲で、テーマソングでもある"ただあたたかくカラッポに"と"あめのことば"。当初こへさんは特にその歌の意味を伝えていなかったけれど、今では再会して再び歩み出した想いの歌ということが定着してきた。そしてあめのことばも乗ってきたおけいさんにつられてかめったにない手拍子で歌われた。
ここでお決まりの"またね"で香真良さんにちょっかいを出してもまったく対応するそぶりはない。しかし、おけいさんはこの歌が大好きなよう。ひょっとするとこの歌の先にご自分の姿を重ね合わせているかなあ?
続いては会場の雰囲気を察してかとくに説明なく"ガラスの言葉"。勿論かの方の曲だけど、すっかりおけいさんの歌として昇華している。まる六の時にも是非、おけいさんメインのヴォーカルで歌って欲しいと思った。
いよいよエンディングが近づいてきた。今日はオープニングアクトがあって、ほぼ8時からのスタートにもかかわらず、前半9曲、後半もこれまでで6曲と随分贅沢なセットリストとなっている。そして最後の2曲という感じで、スタンダードナンバーの"星に願いを"と最新のオリジナル"静かな雨"がオーラスかと思われた。幸いにも最近は香真良さんのギブソンのイントロで曲が判るのだが、そうかあの曲はアンコール用か?と思った瞬間、待っていたイントロが、
実に後半も9曲目、オーラスは"春の風が吹いていたら"だった。おけいさんの振りにも一段と力が入っている様子。私にとってはおけいさんの決意の歌のように思える。
ようやく、自分のペースで歌えるようになっても、周囲のいろんな想いがあるのは承知の上で、そんな思惑に一番近い歌を、一番自分らしく歌い上げることで今の、自分自身、おけいさんそのものを表現しているように感じている。
何故か、おけいさんの迫力に負けて、手拍子を忘れていたオーディエンスを促すように手拍子のリードを取らせて頂いた。
そして予定通りのアンコールは"インドの街を象にのって"で全19曲、初の徳島ソロLIVEは盛り上がりのまま終了した。
さて新旧の歌のコンビネーション、オリジナルの中の組み合わせ、オーディエンスとおけいさん、いろんなコンビネーションが組み合わされた夜だった。そしてコンビと言えば、ソロのおけいさんのベストパートナー、本人は不満らしいけれど"ギブソンの名手"木村香真良さん。彼はおけいさんが音楽の世界から離れた1972年に生まれている。歳の差は意味がないほど、おけいさんは十分に若いのだけれど、これほどおけいさんが安心して歌える何かを彼が身につけているのは間違いない。ベストコンビネーション、彼のイントロを合図に歌の天使がおけいさんに舞い降りてくる。このコンビはまる六マイナス1本のギターとは違う,全く別の魅力を持っていると思う。
そんな香真良さんは6月1日、西日本ツアー最終日の岡山で36歳の誕生日を迎える。これからもおけいさんの前に続く、まる六という線路とは別のおけいさんのソロのいう進路を確かに支えて行って欲しいと願った徳島の夜だった。
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コメント
wincさん
ありがとうございます。
とにかくこの日のおけいさんは表情がとってもゆたかでした。
長いのを読んで頂き、感謝します。
投稿: たくみ | 2008-06-05 21時32分
たくみさん、こんばんは。
おけいさん、いい笑顔ですね!
いつもながら状況がよくわかるレポート、ありがとうございました^^。
投稿: winc | 2008-06-05 21時04分