歩きはじめて
今日もいつもの曲がり角にいた
少し浮きかけの腰をさとられないように
うそっぽく関心なさそうな視線は、
それでもどこか焦点が定まらずにいた
ここでどれだけ多くの時の群れを見送ったことか
みんなが乗り遅れないようにとメダカの群れのように繋がっていくのに
何故かいつも手を小さく振って見送っていた
時に遅れていくことを恐れることはなかったけれど
繋がって流れて行く塊達にはいとおしさも感じていた
だけど もう少し ほんの少し立ち止まっていたら
さっき見送ったはずの時の塊が遥か後方の角から砂煙を上げて
近づいてくるのが見えてきた
すでにそこは通り過ぎたことに気づいているのだろうか
再び目の前を同じように連なっていく姿に大きく手を振った
そして
僕はゆっくりと歩きはじめた
連なった時の塊達のようにこの角を訪れることはもうないだろう
そして同じように
見送った時の塊達に出会うことはない
きっと。
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