二つの月の記憶・・胸がきゅんとなること
岸田今日子さんの遺作、二つの月の記憶を読んでいる。
短編7編からなるこの本は、書くのは得意でも読むのが苦手な私にはぴったりの本だ。
おばあさんが思春期時代の冒険を体験するオートバイからはじまる。
主人公は岸田さんのようで岸田さんでなく、ノンフィクションのようで、大人の童話の趣ですすんでいく。
この本,実は私の36年の時空を超えたメルヘンを聞いた知人というか大恩人が、そんな素敵なことは何とか物語に纏められたらいいねと、多分これを読めば参考になるよって勧めてくれた本でもある。
六文銭の解散でカラッポになっていた10代の心に
4年以上もすっぽりハマっていた彼女が、
訳も判らぬ間に離れていった30数年前の記憶が突然蘇ってくる
長過ぎた春っていう言葉より、春を長く待ち続けたような感じかな?
どちらもどんなに大事に思っていても、
最後の最後で相手の心がわからなることの怖さと
わかってもらえなかったのかなと疑心暗記になってしまった空しさが
同時に押し寄せてくる
約束の時間から待ち合わせの駅で5時間待っていた自分と
待っていると思ってやってきた彼女がそれでもわかりあえなかったこと
22歳の胸がきゅんとなる思い出
そしてタイトルの短編、二つの月の記憶。
これもずっと続いていたメルヘン
でも結局,本当のメルヘンには当事者は気づかないんだよね。
駅で会って、目的もなく地下街を歩いて、喫茶店で話をしても
どうして二人が別れるのかはわからなかった二人
そして5時間待った駅で彼女の街へ帰っていくのを見送った
二つの月の記憶では、子供の頃に遊んだおもちゃでようやくメルヘンに
気づくのだけれど
少し経ってから、彼女が嫁いだ先が毎日利用する駅の街であること知った
その駅で細身のストレートヘアの後姿を見るたびに
通路の向こうから彼女に似た人影が現れるたびに
猛烈に胸がきゅんとなった
果たして5時間待たせても必ず待っていると思った彼女も
この駅で胸がきゅんとなっているのだろうか
そして、多分あの日、待てずにあきらめて帰った自分と
待っていないと結局,駅へ行かなかった彼女であった方が
二人とも幸せだったのかも知れない
後5編残っているけど、今は怖くて読み進めない。
彼女は"桂子"と書いてけいこと読む。
多分、遅れて来た少年の初恋だった。
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