様々な訃報に触れて①
名古屋は昨日、今日と38度の猛暑が続いている。
脳みそだけでなく、体まで溶けてしまいそうだ。人間の細胞は体温が40度を越えると死滅しはじめるそうで、だから子供が風邪で熱を出していても40度を越えるようなら氷風呂に入れても体温を下げろと言われる所以である。
そんな猛暑の性ではないだろうが、ここのところ色んな訃報が続いている。
無論、身内の訃報に触れた方からみれば、人ごとまでかまっていられないのは当然だけど、差し当たってそうでない身にとっては最近の訃報は色んな意味で心が重くなる。
赤塚不二夫さん、手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子不二雄の様に必ずしも絵がうまい訳ではない、また文化論的にその作品が語られることも少ないが、だからこそギャグ漫画というジャンルを守ってきたのはもっと評価されるべきであろう。決して"先生"と呼ばれることを望んでいなかったようにも思えるし。そしてギャグ漫画そのままの再婚インタビューや酒無しでは話せないシャイな性格も赤塚さんらしいで許される人柄だったと思う。
最大?の功績は山下洋輔らとタモリという存在をこの世界に引き入れたことだろうか?どこかへ行ってしまったけれど松岡正剛さんの工作舎から出ていたタモリの本(タイトルは失念した)での赤塚さんとのエピソードは思い出すだけでも抱腹絶倒ものだった。
しかし、彼自身は2002年に検査入院した際の脳出血でそれ以来全くの植物人間状態だったと聞く。そしてそんな彼を献身的に看病した再婚した奥様は看護疲れか数年前クマ膜下出血でお亡くなりになっており、あろうことか赤塚さんが亡くなる3日前には再婚の際、立会人として再婚相手と同席されていた最初の奥様も亡くなっており、その葬儀の段取り中に彼は二人の愛した女性の死を知る事無く息を引き取っていたのだ。
スピリチュア的に言えば、そんな彼を一人にしておいてもと言うことでお二人の奥様が呼ばれたのかも知れない。それならダメ夫ながら愛されて天国に連れて行かれたとすれば幸せだったのかも知れない。でも72歳はいくらなんでも若すぎるけど。
少し遅れたけどタモリのコメントが出たのはよかった。悲しみが深いだけ遅れたのだと思う。
そしてソルジェニーツィン。数奇な運命を辿った彼は多分、ロシア一の愛国者だったのだと思う。スターリンに迫害され、フルシチョフに名誉回復を受け、ブレジネフ下では再度追放を受け、ゴルバチョフにより再度評価を受け、しかしエリチェンによる西欧化&資本主義化は徹底的に批判していた。同時にチェチェン等の民族自決を支持していたにも関わらず、KGB出身でチェチェンを弾圧し続けるプーチンをロシアの復権として最後は支持し続けたというのは矛盾と言うか悲劇的だとも思っていたけれど。
彼については、浪人時代、予備校の名物講師が"平和的アナキスト"として評価していたのがずっと脳裏に焼き付いていた。右だろうが左だろうが腐敗する体制/権力には批判的である精神は、私自身の基本スタンスでもあるので、それでもその反作用のように現体制に媚びてしまった最後の姿は、やはり少しやりきれない想いが残ったのも事実である。
最後は河野澄子さん。松本サリン事件の2重の被害者である。松本サリン事件の第一通報者でありながら、無能な警察&尻馬に乗るだけのマスメディアにより犯人にされそうになった河野義行さんの奥様である。オウムの引き起こした事件そのものがあまりに悲惨であったが故にその悲劇性が薄められてしまったけれど、河野家を襲った第2の悲劇の方が現代社会においての罪から言えば重いのかも知れない。
無論オウムの犯罪は時代を越えた犯罪ではあるけれど・・。
無能な警察は救いようがないが、権力の垂れ流す情報を何の疑いもせず横並びで流し続けたメディアは、今一度大反省をしてジャーナリストとは何かをイロハから見直すきっかけにすべきだと思う。
まあ、長野のメディア連中は康夫ちゃん知事時代に無反省の繰り返しをしているから、まったくこの経験が活かされていないとは思うので余計だが。
結局、奥様は14年間、夫が冤罪に陥れられそうになったことも、そこから見事に立ち上がったことも多分理解できないまま、14年を過ごされていたのだと思う。
救いと言えば、訃報の写真が若々しく美しいお姿だったことだろうか?
訃報に触れて、自分に置き換えていろんなことを考えていた。
う~ん、それにしても暑い。願わくばこれ以上悲しい訃報が続かないことを願うばかりだ。
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