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2008-10-05

明日に向かって撃て・・俺たちに明日はない。そしてCOOL HAND LUKE

D112590828土曜日の夜に"明日に向かって撃て"を見た。
ポールニューマンの追悼ということでBS朝日で急遽放映されたものだ。
リアルタイムでは1970年、正直なところ見たかどうか記憶がない。ただ,当時BJトーマスの"雨に濡れても"をさかんに聞いた記憶が鮮明に残っている。
アメリカンニューシネマの代表作、何より日本でファンの多いポールニューマン、ロバートレッドフォード、キャサリンロスという組み合わせもあり話題になっていたのは確かだろう。ただ時代はバートバカラックの音楽の方が圧倒的に存在感があったように思うし、サウンドトラック版である"雨に濡れても"も大ヒットした。余談だけど、日本流NEW時代劇の代表でもある"木枯し紋次郎"の主題歌である"誰かが風に中で"は,小室さん自らがバートバカラック風とおっしゃっているので以下で聴き比べて頂きたい。
◇バートバカラック作曲 BJトーマス歌 雨に濡れても

◇小室等作曲 上条恒彦歌 誰かが風の中で(音楽まで長いけど・・)

ところで、内容自体は破天荒なギャング(実在の)のドタバタを描いたもので、どこが明日に向かっているのかはよくわからない。しかしベトナム戦争を体験しとにかくハッピ—エンドで終わらない現実が厳然とあることを認識した時代の映画、それがニューシネマと言う事か・・。そう言えば木枯し紋次郎もニヒリズムというか決して正義のヒーローではないところが、NEW時代劇と言われる所以?勧善懲悪というか、どんなに酷い目にあってもいつかは救われることで社会規範を何とか保っていた社会が、果たしてあれだけの犠牲を出しながら結局、世界の憎まれ役にしかなれなかったアメリカの現実を写しているような気がする。

でも、だからといってその後お金本位制の如く、富=正義と突っ走っていったアメリカの末路が今回の金融不安でもあるわけで、30数年経ってもこの国は加減というか、ほどほどを学べない国だとつくづく思う次第。まあ、そんな末路を盲目的にマネしようとしているどこかの国よりはマシなのかもね・・

D112599846このニューシネマの原点と言えるのが1968年の"俺たちに明日はない"。どちらも原題が実在の主人公の名前を記したもの(明日に向かってはButch Cassidy and The Sundance Kid、俺たちに明日はないはBonnie and Clyde)という点も共通項が多いが、内容にリンクした邦題としては明らかに"俺たちに明日はない"の方が数段勝っているような気がする。
救いがないというか、ある面現実的にもこの映画は壮絶なラストシーンがすべてか!?

最後に、ポールニューマンが死去した際、日本では"明日に向かって撃て”や"スティング"を代表作とされていたが、アメリカでは3大ネットワークをはじめ大半のメディアが紹介したのは、これも邦題は酷いが"暴力脱獄",原題は"COOL HAND LUKE"であった。やられても、やられても笑顔で立ち上がってくるポールニューマンの姿が無性にかっこよく、かつ魅力的である。
映画評論家の町山さんによればこの映画は実存主義の名作、他は見なくてもいいと言う程の作品だそうだけど、残念ながら私自身は見た事はない。ただ、原題で検索すると驚くほどのサイトがあるので,日本での評価とは違うのだなと思う。

いずれにしても、ニクソンの政敵とされたほどのリベラルの雄、ドレッシングやミートソースでの利益はすべて寄付していたことでも有名で,癌に侵されながらも2004年には金持ち優遇政策を取り続けるブッシュに対し、貧しい人々を苦しめるのではなく"我々"金持ちからもっと税金を取れと訴えたのが、最後の姿だったというのがこの人らしく、生き方そのもがかっこよかったんだと思う。改めてご冥福をお祈りします。

◇COOL HAND LUKE(暴力脱獄)
D112579126

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