« 確かに春の風が吹いていた・・おけいさんの名古屋ソロLIVE | トップページ | 晩節を汚す。ふたつの老害。 »

2008-11-16

立ち止まらない歌姫・・OK's SQUARE 7th

小室さんと谷川俊太郎さんのコラボの曲に"今、生きているということ"という名曲がある。この曲、あの夜のヒットスタジオでも小室さんが歌ったという、しかもピアノ伴奏はあのアッコちゃん、ハンディのワンカメが正面から小室さんを押さえるという伝説の演出でも有名なものだ。

そしてLP以前にこの曲を鮮烈に印象づけたのは、TBSの山田太一ドラマ"高原へいらっしゃい"。最近佐藤浩市でリメークされたけれど、当然オリジナルの田宮二郎版である。オープニングテーマは"お早うの朝"。バックバンドはあのムーンライダース、今思うとすべてが贅沢な構成ではある。

そして最終話で三田佳子演ずる妻がホテルを再生させた夫のもとへ向かう決心から八ヶ岳のホテルへ向かうシーン、そして同時進行でその妻を迎えに東京へ向かう田宮二郎のバックにこの曲が効果的に使われていた。互いに意地をはりつつも、結局はそれぞれの元に向かう姿、いろんなものをお互いの心に包み込んで愛する者のもとへ向かうことを選んだ姿は、まだ男女の心の機微なんて知る由もなかった20歳そこそこの私でも、この歌の歌詞とともになんとなく大人の世界を理解できたような気分になっていた。
実はここのところ、今日の本編?に絡んでくるのだけれど・・・

余談だけど、最終回の予告編として先ほど紹介したシーンそのものが約4分に渡って放映された。不思議なのは本編では"今、生きているということ"なのに、予告編では全く同じシーンが"お早うの朝"で構成されている。このドラマのトリビアみたいなものだけど、DVDを見直すまでは予告編も”今、生きて・・"のつもりでいたことを考えると当時の衝撃度が大きかったのだと思う。

さてさて、OK's SQUARE 7thなのに大きく寄り道してしまったけれど、ところがどうして?今回のテーマと関連するのでお許し頂きたい。
23889353_376726270 23889353_2003721924
恒例のOK's SQUAREは、これまた恒例の雨模様の15日に、こちらは初めての荻窪(おけいさんも渋谷よりはロケーション的には合っているとお話された)のBUNGAにて開催された。何しろ、ある面聖地である”落陽"を横目に見ながら向かう会場ではあるので。

23889353_1702872770s

※サイトの管理者,Uさんの挨拶でOK's SQUAREはスタートする。

OK's SQUAREは同名のおけいさんの応援サイトが年2回主催する、リサイタルのようなものだと勝手に思っている。だから、そこでは毎回新しいおけいさんの姿に出会うことが楽しみのひとつとなっている。前回はピアノを加えた編成、そして今回はいつもの香真良さんのリードギターに新進気鋭のギタリスト太田さんとウッドベースの須藤さんを加えた編成によるチャレンジとなる。同時にステージ上の平均年齢もぐっとダウンしている。そして前回同様におけいさんはその若さパワフルさに押されるのではなく、まるでうわばみのように彼らのパワーを自らの鋭気に変えてしまう。そう、単純な平均年齢ではなく、おけいさん自身もその若々しさに磨きがかかってしまうことだろうか?
23889353_792906653s 23889353_3353017876s

そしてもうひとつの楽しみは、編成以外にも新しいチャレンジに出会えることだろうか?ご自身の創作された新曲も精力的に披露されるし、すべてをおけいサウンドにかえながらもいろんなカバーにも挑戦され、その披露もされるのだ。

つまり我々の歌姫は、昨日の場面には立ち止まってはいない。歌うという天賦の才能を玩ぶのではなく、その楽しみを自らのものとして今も進化し続けているのだ。果たしてこのチャレンジは、37年前に一端歌の世界から身を引いた者のものだろうか?28年の眠りの後に、それでも進化しようとする精神は一体どこから生まれてくるのだろうか?

そんな歌姫に対峙する我々は、単に昔の思い出に浸っているだけではだめなのだ。それぞれの人生においておけいさんの眠りの28年間にすごした自分の時間に本当に悔いはなかったのか?その眠り以上の人生を本当に生きてきたのかと、鋭いナイフを突きつけられているようだ。生きている振りをして毎日を今日のコピー&ペーストで無駄に過ごしてはいなかったのか、おけいさんが眠りによって得た鋭気でその後の進化で軽く28年の時間をキャリーオーバーされてはいないのかと・・

おけいさんの姿を見ていると、我々自身も今できることを、より真剣に生きていくことを選択しなくてはと思う。これこそ人生とは、生きているということは何かに繋がってくると思う。どんなに長くても1度きりしかない人生をどう生きるのかを、家族のためとか、大人とはこんなものさとか、賢さという名の安全な毎日を繰り返してきたのではと思わざるを得ない。

誤解があると行けないが、別に修道士や修道女のようにおけい教に帰依すると言っているのではない。価値観、人生の価値観、無論人それぞれのであるけれど、本当に好きな事、やりたい事、大事な事なら、自分で納得がいくまで突き進む方が人生は幸せだと言う事だが如何に。それができないことが大人なんだよと嘯く人には、それで本当に生きていると言えますかと問いてみたい。

私はそんな人生があることを示してくれたおけいさんには心から感謝するしかないし、そんなおけいさんだから少しでも、その夢に,生き方にお役に立ちたいと思うのだと。そう不安な人生だから、フロントランナーの如く道しるべになってくれるおけいさんだから。

BUNGAでのSQUARE、前半はいつもどおり香真良さんのギター1本でスタートした。聞き慣れた曲からスタートしてすぐに初めて聞くアイルランド民謡”マイ・ワイルド・アイリッシュローズ"からカバー曲が続く。オリジナルの"ひとときの夢"これも以前のSQUAREで披露された曲、更にメルヘンチックなキャンプソングやカバー曲が続く中で、今回の白眉?の新曲が紹介された。

何しろ2日前に完成したばかりとのこと、当然完成度的にはこれからだろうけど、極めてチャレンジフルな曲である。これまで比較的ラブソングでも恋人っぽいものが多かったおけいさんの詞だが、この曲は長い時間を共有してきた二人故の歌になっている。冒頭のドラマのシーンがなんとなく浮かんでくる。愛する者同士故の意地の張り合いは、単なる男女の恋の駆け引きとは違う何かがある。
そんな心の機微をおけいさんはシャンソンのように語るように歌われる、何をイメージされているのか、聞いてみたいような聞くのが怖いような曲だった。因みにタイトルはまだない・・とのこと。オーディエンスから思わず拍手や笑いが起きる、会場には身につまされるであろうご夫婦や片割れの姿も多かったが・・。
前半最後はこれもおなじみのカバー曲、香真良さんのギターアレンジがいつも以上に冴え渡っていた。

休息を挟んでステージには若いミュージシャン3名が、バンマス香真良さんのリードで"うれしくて"の伴奏を始める。手拍子も加わったそれにうながされるようにおけいさんがステージに。言い忘れたけれど、今日の衣装は黒のタートルネックに右胸あたりに細い天の川のようにキラキラ輝く飾りが、そしてそれに呼応するように同じ輝きのブレスレットが左の手首に輝いている。細身のジーンズはいつもどおり。スタイリッシュさは相変わらずだ。

続いては新曲、これはめずらしくプレゼントされたオリジナル曲とのこと。香真良さんの曲とはひと味違う爽やかな曲"君の為に"。
更にオリジナルやおなじみの曲が続き、後半は最近のLIVEの構成に沿ったものとなった。エンディングは暖かい雨となった今日にフィットしたような定番"春の風が吹いていたら"東京ではめずらしく手拍子も加わって、至福の、そしてチャレンジフルな、そして新たな展開が伺えるSQUAREを締めくくった。

当然のアンコールとして、才能溢れるミュージシャンのテクニックを十分に披露するアレンジで、懐かしいカバー曲が披露された。

今日はいつもの曲もアレンジが微妙に変化されており、正にリサイタルにふさわしい内容だった。何よりおけいさんが、いまだに立ち止まることなく、楽しそうに歌いながら、新しい何かを求めている姿に、再び自らに気合いを入れられたSQUAREだった。

ありがとうおけいさん。そしてステキなライブにしてくれたミュージシャン、Uさんをはじめとする運営スタッフの皆さんにも・・。次のSQUAREまで私自身も進化しなくては。

« 確かに春の風が吹いていた・・おけいさんの名古屋ソロLIVE | トップページ | 晩節を汚す。ふたつの老害。 »

たくみのまる六&おけいさんLIVEレポート」カテゴリの記事

コメント

シゲルさん

こちらこそご挨拶させて頂きありがとうございます。
体調には十分ご注意してください。私は歳を取らない?おけいさんについていくため
ますます体力がついていくようです(笑)

スケジュール的には年内のまる六は難しいと思いますが6日もレポートとしますので、
よろしければまた覗いてみてください。

私は年内、まだ何度か巡礼の旅が残っています。
歌姫がさらに輝く姿を追いかけて行きたいと思います。

ありがとうございます。

投稿: たくみ | 2008-11-20 14時20分

たくみさん、先日はご挨拶できてよかったです。
もう少しお話したかったけど、また次回の時に・・

新編成のミュージシャン達は若々しくてグッドでしたね。
意味深な新曲も新鮮で次回のステージにどう繋がっていくのか?
「私の青空」もすっかりラストに相応しい曲で心地よいです。
そして大好きな「春の風が吹いていたら」~外に出たら暖かくて
まさしく唄のとおりでありました。余談ですが「ちゃぶ屋」で食べた
醤油ラーメンも美味しかったですよ。
連れも大変喜んでくれました。

おけいさんはたくみさんの言うとおり、まさしく「歌姫」そのもの。
今回は特に実感できました。
会場のソファーも心地よく幸せな時間となりました。
まる六は体調面で行けませんが年末あたりにやってくれることを楽しみにしてます。
たくみさんも、どうかご自愛のほど。必ずお元気で!

投稿: シゲル | 2008-11-20 12時07分

この記事へのコメントは終了しました。

« 確かに春の風が吹いていた・・おけいさんの名古屋ソロLIVE | トップページ | 晩節を汚す。ふたつの老害。 »