晩節を汚す。ふたつの老害。
私の持論でもあるけど、権力は必ず腐敗するというのがあるけれど、およそ人という生物はどうしようもないものらしい。
元厚生官僚やそのご家族が合われた不幸に関してはお悔やみやお見舞いを申し上げるしかないけれど、それを受ける日本の社会というのは、空いた口が塞がらない状況が続いている。
確かに昨今の社会情勢の中で、厚生官僚ましてや年金制度に深く携わっていた2家族が襲われたとすれば、やれ厚生官僚を狙ったテロだと大騒ぎをするのはこの国のメディアのレベルを考えればわからないではないが、所詮、大本営発表の記者クラブが警察発表を鵜呑みにした結果でしかないと思う。
事件の全容が解明されていない時点で軽々と判断をできないのは承知の上での推理であることをお許し頂くとすると、現状の報道どおりだとするとレベルの低い日本の刑事ドラマでも、もう少しマシなシナリオを考えると思う。
仮に犯人が社会保険制度に対する憤りから犯行を実施するとすれば、当時の社保庁長官とか、マスゾエ君とかもっと判りやすいターゲットを狙うのだと思う。よほどの事情通で無い限り、今回の被害者が制度の張本人だとは判らないであろう。ましてや今現在なんら犯行宣言も出ていない。つまり厚生省関連の事情による犯行であるのは明らかであっても、年金制度そのものというより極めて個人的な恨みによる犯行と考える方がよほど理屈にあうと思うがいかに。
さらに複雑な推理をすれば、これはあくまでフィクションだけど、仮に現厚労省関係、社保庁等かなり中枢に近いところが仕組んだ計画的な犯行だと仮定すると、今の状況は極めて狙いどおりの状況と言える。
つまり、現行の社保庁を核とする国家的な詐欺行為とも言える年金制度の混乱は改善どころか掘れば掘る程粗が出てくる状況である。にも関わらずそれに関わった責任者の誰一人として責任を負ったものはいない。官僚の利益は個人で略奪しても責任は組織として明確な責任者を明らかにしないという得意技で逃げ切ろうとしていたものの、それさえも困難な状況になってきた。
ここでテロ騒動を起こして批判の矛先を変える、否鈍らせようと画策したとしたらどうだろう。こう考えると被害者は関係者でありながら、できるだけ同情を得やすい人物である方が効果的だ。被害者のお一人が"仏の山口"と呼ばれていたのも、ある面偶然では無かったのかも知れない。ましてや本人だけでなく評判のいい家族まで被害にあったとすれば、それを計算したとすれば、背筋が寒くなってくるけれど。
少なくとも2日連続での犯行だとすれば、あえて年金制度に焦点を当てさせようとする狙いがあったと思われる。殺害が目的なら続けて実施するのはあまりに危険(少なくとも犯人像の特定とかがされているかどうか、様子をうかがいのが自然と思うけれど)だろう。何より殺害方法があまりに手際が良すぎる。あきらかに義憤に燃えた素人というよりプロの殺し屋の体がすると感じるのは私だけだろうか?
少なくともすべてが袋だたきにあっていた厚生労働省/社保庁関係者が一躍被害者っぽく振る舞うことになり、単純な日本国民もそれはそれ、これはこれと判断できるほど理性的ではあるまい。私の推理どおりなら、今頃犯人というか首謀者は腹をかかえて笑っているはずである。犯行のタイミングにも、テロとすれば必然性があまりに低い。近近、さらに大きな不祥事が、国家詐欺の全容が出てくる予定だったとしたら・・。
実は昨日のニュースでインタビューを受けた厚労省の職員が
"少なくとも犯人が厚労省関係者でないことを祈りたい"と答えていた。テロという言葉とは余に対照的な発言だと気にしていたのだが・・
更に驚くべきことに続けて耳を疑う、老害発言が続いている。
ひとりは政治家、厚生族の津島氏。なんとテロの原因を政府を追求する野党やマスコミだと宣った。盗人猛々しいとはこのことか?元厚生大臣として責任を感じるどころか、”俺たちを悪く言うお前らが悪い"なんて、次期選挙で仮に当選するのなら、日本国に未来はないと思う。
発言の要旨はクリックで。
そして更に驚くべき発言が驚くべき人物から発せられた。
まずはその内容を以下にご紹介する。
トヨタ奥田氏「厚労省たたきは異常。マスコミに報復も」2008年11月12日21時7分
トヨタ自動車の奥田碩相談役は12日、首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、テレビの厚労省に関する批判報道について、「あれだけ厚労省がたたかれるのは、ちょっと異常な話。正直言って、私はマスコミに対して報復でもしてやろうかと(思う)。スポンサー引くとか」と発言した。
同懇談会は、年金記録や薬害肝炎などの一連の不祥事を受け、福田政権時代に官邸に設置された有識者会議で、奥田氏は座長。この日は12月の中間報告に向けた論点整理をしていた。
奥田氏の発言は、厚労行政の問題点について議論された中で出た。「私も個人的なことでいうと、腹立っているんですよ」と切り出し、「新聞もそうだけど、特にテレビがですね、朝から晩まで、名前言うとまずいから言わないけど、2、3人のやつが出てきて、年金の話とか厚労省に関する問題についてわんわんやっている」と指摘し、「報復でもしてやろうか」と発言。
さらに「正直言って、ああいう番組のテレビに出さないですよ。特に大企業は。皆さんテレビを見て分かる通り、ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社じゃない。いわゆる地方の中小。流れとしてはそういうのがある」と話した。
他の委員から「けなしたらスポンサーを降りるというのは言い過ぎ」と指摘されたが、奥田氏は「現実にそれは起こっている」と応じた。
いかがだろうか?余の思い上がり、時代錯誤の発言。確かにトヨタはメディアのパトロンと呼ばれ、現に金融不安による収益悪化を理由に30%(全体で1000億以上の広告宣伝費の)をカットと宣言して、キー局は軒並み、大手広告代理店も大幅な売上減少に喘いでいる。
およそ、権力者が都合の悪い情報を流すメディアを抹殺するという発想は、未開発国家の権力者の発想とまったく同レベルだ。彼には金正日やミュンマーの軍事政権を非難する資格は全くないといえる。金で情報が買えると思っているとしか思えず、逆に言えば札束でひったたけば、すべてが自分の想い通りになると思っているのだろう。裏を返せば、メディアの連中も彼の発言を助長するようなことをして来たのだと思う。財界総理、さすが下請けをたたきまくり、単なる組み立て屋にしかすぎない企業で10%近くの営業利益を上げる会社の代表者だったとも言えるが。
昔からこの会社は政治や財界活動には出しゃばらず、自分のことだけコツコツとやるということを美徳としてきた。しかし所詮は田舎者の哀しさか、その財力に目がくらんだ連中におだてられて、表舞台に立たされると、お里が出てしまったのかも知れない。正直なところ、前会長の発言に一番困惑しているのは、現首脳陣かも知れないが,否是非そうあって欲しいけど。
晩節を汚す。老害の最大の欠点は当事者には判らないことだろう。
まあ、老害以前にも、最初の選挙での第一声が"下々の皆さん"だったという、現総理の愚かさを考えると筑紫哲也さんの言葉ではないが
"この国の行方"が本当に心配になってくる。
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