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2009-01-10

思い込み 吉本隆明の続き

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単純な性格なので(よく言えば脳みそが海綿体のようなので)いろんなものに
影響されやすいのです。

と言うことで今はお正月に見たETV特集から頭の中に"吉本隆明"が占めています。
さっそくAmazonで何冊か本を頼んだり、糸井さんのサイトで吉本さん講演集の音源を頼んだりしています。

とりあえずは先日のETV特集の講演では、彼を思想家とみるのか文芸?評論家と見るのか、はたまた詩人と見るのか?60年代から70年代にかけての学生運動の精神的支柱であったという一般的な情報では計り知れない想いがあります。

ある面意外な取り合わせの糸井さんが全面バックアップするのは、評価はともかくお二人とも"言語"、”言葉"と共に生きてきたということでしょうか?

何より意外だったのは、吉本さんは主戦派で、終戦時に玉音放送を聴いてひとり涙したと言うのです。同時に戦地に赴く友人には天皇の為に死ねる喜びを詩にして託したというのは驚き以外の何者でもありませんでした。
当時は東工大の学生として富山の化学工場で戦闘機のジェット燃料開発に携わっていた、同時に詩を創作する文学青年であったという多面性のみが、その後の吉本さんにつながる部分だと思います。

そして、吉本さんは終戦によりそれまで読んだ書物をすべて処分し、自ら真の世界観を把握する意味で、アダムスミスからマルクスまでの古典経済学を学び始めたのだそうです。この切り替えというか、価値観のリセットができるというがなんとも凄いという感じです。

そんな背景の中で芸術言語論を展開していくのですが、まだまだ理解が足らないのですが、言語に携わりながら言語の本質を"沈黙"というのはなんということでしょう。それを解説する能力はないので以下に、自ら講演で紹介された話をご案内します。

言語の幹や根は"沈黙"にあるというのです。凡人には言語によってコミュケーションを取りその意味を表現すると思うのですが、芸術においてはそれはあくまで枝葉でしかないというのです。これでもよくわかりませんね。

つまり、美しい花を見た時、言葉にならない美しいと思う心、想いが本質で、これを吉本さんは"自己表出"と呼んでいます。そしてその想いを第三者に伝えようとするためだけに"綺麗な花だね"という言葉を発する(これを枝葉や花という意味で)これを"指示表出"と言うのだそうです。まだまだよくわからない?

例えばこの"奇麗な花だね"というのを歌に置き換えましょうか?
吉本さんは講演の中ではモーツァルトの例で話されていましたが、私はやはりこちらの例でいかなきゃですね(^-^;
仮にこの"綺麗な花だね"というのが歌詞やメロディだとしましょう。それが芸術の本質だとすれば、その歌詞どおり、音符どおりに演奏すれば、誰でもいいことになります。もちろん違いますよね。まる六が演奏することで感動するのであって誰でもいいものでは決してありません。まる六が歌うことによってのみ伝わってくるその本質というものがあると考えればなんとなく判るような気がしますがいかがでしょうか?
同じ意味で春の風が吹いていたらも今のおけいさんが歌われることで心にズンズン滲みてくるわけですね。
もうひとつ、これこそ、おけいさんやまる六と懐かしのフォークブームとの根本的な違いで(これまでなんども書いててもうまく表現できませんでしたが)、おけいさんやまる六には"自己表出"を感じ(これも聴く側もですが)、懐かしフォークでは単に"指示表出"をお互い共有しているだけなのだと思います。

そしてもうひとつの例ですが、フランス文学者である桑原武夫が言う第二芸術論について明確に論破することができることです。(こちらもご参考に

つまり、第二芸術論は桑原武夫曰く、俳句なんてものは芸術なんかとは呼べないと言うのです。その実証として作者を伏した俳句を並べてどれが優れているか選ばせたら素人と有名な俳人との区別がなかったからという論旨です。
しかし、これも芸術言語論で言えば、575で表現された"指示表出"だけで語っているだけで何ら芸術論ではないことになります。逆に575に集積する分、"自己表出" に近いかも知れないとなると、違う次元で評価しているとしか言えなくなりますね。

いずれにしても、まだすべて吉本隆明を正とするわけではありませんが、私が何故、小室さんや、こへさん、そしておけいさんの歌に傾倒しているのか、同時に所謂懐かしのフォークブームやそれに単純に共感することに違和感を感じるのかを、明確に説明されたようで、まだまだこれから入っていくのだと思った次第です。

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コメント

wincさん

いつもありがとうございます。
確かに映像的には厳しいかも知れません(^_^;)
私は音声だけiPodに落として聴いています。
ただ50年の文筆生活を自分の言葉で説明したいという情熱は凄いと思います。

参加した方のブログを見ると聴衆も何度か落ちていたそうで、それでも目覚めるとまだ話続けているということで、そもそも聴かせることが目的ではないのかも知れませんね?

ただ筑紫さんじゃないけど、こんな時代だからこそ、いろんなことの指針になる話を聞きたいと思える人だと思います。

投稿: たくみ | 2009-01-11 11時23分

たくみさん、おはようございます。
吉本隆明のTV見てたのですが、途中でリタイアしてしまいました(>_<)何だかたるくて・・。私の理解能力の無さかもネ^^;
吉本隆明はTVでしゃべるより、本で読む方がまだいいと思ってしまいました。
最後まで見てたら、違ったかな~?

投稿: winc | 2009-01-11 08時33分

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