THE WEST WING とキングコーン
私のブログへのアクセスで一番多いのは、記事が圧倒的に多いおけいさんや六文銭(まる六)に関するものではない(少し涙)
おけいさん関係は第3位かな?
一番多いのは”キングコーン"に関する記事なのだ。この記事に1日100件以上のアクセスが数日続いたことがあるので驚いたことがある。
原因は私の力というより人気ブロガーの石塚さんがキングコーンの紹介に私の記事を案内して頂いたのが大いに影響したのは明らかだった。
※映画"キングコーン"
その映画"キングコーン"本国では2007年公開だが,今年ようやく日本でも公開されることになった。詳しくはリンク先か私のブログをご参照頂ければ助かるが、簡単に言えば、アメリカでは日本の米以上にコーン=トウモロコシが国策作物になっている。とにかく補助金まみれで作れば買い上げてくれるのでバカらしくて他の作物なんかつくらなくなるくらいなのだ。それだけなら単なる農業問題だけど、このコーン遺伝子組み換えで天候や虫の被害にもべらぼうに強く、生ではまずくて喰えないただひたすら澱粉=コーンスターチを生産する原料するためのもので、アメリカのみならず世界中の食の輪廻の大本に位置する代物なのだ。
たとえば乳牛/肉牛はこのコーンをベースに抗生物質を配合された飼料で育っている。余談だけど映画の中には反芻する牛の胃酸はとっても強力なのに消化の良すぎる飼料の性で自分の胃に胃酸で穴をあける牛が続出いているという衝撃的な映像もあるそうだ。更にコーン油だけでなく一般的な甘味料である果糖ブドウ糖はコーンシロップがベースだし、キシリトールの原料もコーンの芯から作られる、更にはもコーンスターチからはポリ乳酸という環境にやさしい?というプラスチックの原料としてポリ袋が作られる。
つまり、たとえばマクドナルドでコーンで育った牛のハンバーガーとコーン油であげたポテト、コーンで作った甘味料入のコーラやジュースをポリ乳酸でできたポリ袋に入れてもらうとすれば、正にコーン無の生活などありえないことになる。
さて肝心の映画の内容は、学生二人がそんなトウモロコシ作りに挑戦。それを追いかけていかにアメリカ人の食生活がそれに依存しているかをアピールするのだが、その後の現実では原油高騰(サブプライムバブルによる)を受けて、そのコーンからエタノールを精製するという更に更に利用範囲が拡大させて、結果アメリカの国内農業問題をとおり越して、バブルマネーが更なる金を求めて地球の酸素の供給基地である熱帯雨林をも伐採してトウモロコシ畑にしようとするに至って、地球全体の環境問題まで拡大していってしまった。サブプライムが経済理論の原則に則って破綻していった何がエコかなどという化けの皮が剥がれてしまったのは記憶に新しい所だろう。
当時の風潮で言えば、CO2の排気権さえファンドマネーが投機の対象にする始末であった。金になるなら地球全体の環境なんかおかまい無しに熱帯雨林を焼き尽くし(これだけでもCO2が増加するし)ECOの名のもとに効率の悪いアルコール精製のためにトウモロコシ畑にしようとする本末転倒の発想が金融バブルの崩壊でひとまず歯止めがかかったことは、経済理論以前の地球の反撃なのかも知れない。
一連の情報の参考データは以下で
http://bb2.atbb.jp/alternative/viewtopic.php?t=796&start=0&postdays=0&postorder=asc&highlight=
さて本題?
実はこの”キングコーン"てっきり映画のための造語だと思ったのだけど、実はすでにこのタイトルを使ったドラマが存在していた。2004〜05年放映のTHE WEST WINGのシーズン6、そう私の大好きなドラマである。まあ、金融バブルの張本人であるアメリカで、大統領とその側近を描いたドラマでその危うさを描いたドラマがあったというのは、その先見性を評価すべきか、あるいはそれでもバブルに踊っていった現実を愚かさの象徴としてみるべきかは難しいところだけれど、THE WEST WINGの名誉のために紹介すると、アメリカの大統領と側近の日常を超がつくほどリアルに描いてはいるが、現実はバカブッシュがイラク戦争にのめり込んでいく中でドラマでは、民主党政権のバートレット大統領(マーチン・シーン)の賢明な政権運営を描いているし、キングコーンのエピソード自体は、オバマをモデルとした無名の大統領候補の苦闘を描いたものであった。
現実にも全く無名の泡沫候補扱いだったオバマに注目してそれをモデルとしたドラマを作っていたというもうひとつの先見性(ドラマでは数年後のオバマの誕生を予見したように、この泡沫候補がやがて民主党候補となり大統領となるまでを描いているのだ)には、やはりブッシュ&ネオコン、金融ファンドの横暴にすでにアメリカ社会の中でも嫌悪感が広がっていたのがわかる。政治的にはその4年後オバマという形でバランスを取り戻したけれど、経済については破綻まで止める事はできなかったということか?
THE WEST WUNGのシーズン6の13話。民主党の指名を争う予備選挙はニューハンプシャー州で始まるが選挙戦略より自らの主張をアピールしたいサントス(大統領候補)はことあるごとに選挙参謀のジョシュ(元ホワイトハウス次席補佐官)とぶつかり合う。候補者達は最初の党大会が行われるアイオワ州に入る。アイオワは言わずと知れた中西部のコーン地帯、まさにコーン農家に対するエタノール助成金について賛意を示すことが大統領選を戦う上必須と言われる中、サントスは強い疑問を抱いていた。現実にも1Lのエタノールを生成するためには1Lの原油を必要とする。この矛盾を知った上でも助成金を支持しなくてはならない現実にサントスは選挙自体に疑問を抱くのだけど・・・。そうアメリカでは日本のコメ農家以上にコーン農家は圧力団体として絶大なる力を持っているのだ。
その回の邦題は「勇気ある演説」。そして現代は"King Corn"なのだ。2004年、まだ中間選挙も始まっていないというかゴアの得票を誤摩化してブッシュが再選した直後のドラマだった。
・・これだからTHE WEST WINGは凄いのだ。
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