函館の六文銭'09…不条理と現実の狭間で
※名古屋〜函館は現状ANAが午前&午後の日2便のみ。しかも結構小さい機体を使用するが、団体客で満席の状態だった。函館本線の終着駅の函館駅は立派な駅舎。新幹線の駅にもなるからと思ったけどどうやら新函館駅は別になるらしい。しかし函館〜札幌間45分は凄い。何せ今は連絡を含め飛行機でも2時間強、特急でも3時間以上かかるのだから・・
私にとってはじめての函館、六文銭'09としては勿論、以前の六文銭でもこの地では初のライブだそうである。
今回のツアーは4ヶ所、しかしベストシーズンの北海道、予算の都合でウィークデーの2泊3日が限度と言うことで格安ツアーを物色して函館から小樽へはレンタカーで入り、翌日は12時の便で千歳から帰るというツアーで出かけることにした。
結果、巡礼先はの函館と小樽の二カ所のみ、いろんなお知り合いの多い札幌に行けないのは残念だけど、初の地2ヶ所でのライブということでお許し頂きたい。
毎度のことだが観光予定は一切なし、だから本当は北海道である必要はないけど、僅かに函館からレンタカーで小樽に向かう際、新緑の道央を感じられれば僅かにという所、まあ、こちらもお天気次第ではあるけれど。
さて、少なくとも今回の会場、ロケーションというかライブのシチュエーションとしては申し分ない。何しろ函館観光の売りのひとつ、函館山から望む夜景をバックにしたライブ、そう函館山の上にあるクレモナホールのステージの背景はガラス張りでそこには函館市街の夜景が背景となる贅沢さである。
・・ところが、梅雨のない北海道なのだが,どうやら寒気がガスまで運んできたようでお天気は湿りがち、到着してみると函館山の中腹以上はすっかり雲の中だった。頂上に向かうロープウェイも雲の中から出てくる様。幻想的と言えばいえなくはないが・・
まあ、これが何かの暗示でなければいいけれど。
いろいろあった乗り場でのやり取りをくぐり抜け頂上のホールへ向かう。100人近く乗れるロープウェイ(スタンンディングタイプ)は数人の大人を除くとそこには修学旅行と思われる小学生の団体が、でもさ〜これじゃ登っても何も見えないよ。
開演近く、ホールに到着。・・・(状況は一応省略しましょう)
残念ながら今日も写真は不可とのこと。地方でのライブはブログ等で紹介することで広報的な意味も兼ねていると思うので、ある程度写真は許して欲しいけど(無論、フラッシュ無しなどライブや他のオーディエンスの邪魔にはならないようにに細心の注意は払っているので)FLさん考えて頂けませんか?
いよいよ開演。
やはり夜景は全く見えず、ただ小室さんはさすが仙人?"夜景じゃなくて雲の上でのライブと思えば"とおっしゃってスタートした。
今日はロープウェイの営業時間との兼ね合いもあり、一部構成でやや短縮版のセットリストになる予想。
最初の曲は"夏・二人で"。4人になって初めて聴く事になる。今日はステージが広いこともあり、曲によって変幻自在にポジションを変えながら進んでいく。当然この曲はこへさんおけいさん中心。小室さんはおけいさんの横へ移動し、ゆいさんは下手に移動。
"雨が空から降れば"で元の配置に、MCも初めての会場ということなのか、六文銭の成り立ちと言うか説明ぽい話が続いていく。
おけいさん復活の話に続いて"ただあたたかくカラッポに"ここで再びこへさんは上手奥へ、ゆいさんも下手奥に下がっておけいさんのメインヴォーカルを小室さんがフォローする配置に。
再び戻ったと思ったら、劇中歌の説明として、"本来歌はステージ上ではなくオケビの位置で"ということでこへさんが観客席に移動して"面影橋"を歌い始める。とにかく北海道では雨空以上にこの歌が拍手を呼ぶ。
当然のことながら、左右の小室さん、こへさんの基本の位置にギター用のマイクスタンドが配置してある。しかし,今夜はそんなことおかまいなく自由に配置を変えている。女性おふたり以外はヴォーカルを含め生音に近い感じで響いてくる。PPMが少ないマイクに合わせて配置を変えるのとは違って、生音でも十分パフォーマンスできるこのユニットの凄さをあらためて感じていた。
これから4曲は戦争と言うかきな臭い時代なり、状況をモチーフにした歌が続く。
最初は今回のおとのばに収録された,当時の放送禁止歌&発売禁止歌である"ゲンシバクダンのうた"YouTubeにもアップされている70年のフォークジャンボリーで、小室のり子さんが飛び跳ねながら歌っている曲である。考えてみると当時ゆいさんはそのお腹の中、30数年の時をへてCDとして発売され、その一翼を担っている。その両方を目の当たりにしているのはなんとも不思議な感じがする。
演奏後、小室さんが"今歌ってみてもなんであれが放送禁止になったのか判らない"とおっしゃるとゆいさんがすかさず"紀伊国屋や西武をぶっ飛ばすっていってるからじゃない?"と反応。
私なりには、放送禁止にならない一番の理由は、この歌の持つ不条理さ、狂気が今や現実の世界の方が追い越してしまったからなのではと思う。現実に小型のゲンシバクダンはネットの知識だけでも作れてしまうし、廃棄物のように原料となるプロトニウムはどんどんできてくる。歌の世界で非現実的であったものが現実の恐怖として存在している今の世界があるからだと思うのだが。
その意味では、表現の自由としての放送禁止の蛮行も問題だけど、この歌が過激に感じなくなっていることも大きな問題なのかも知れない。
そんなこんなで"戦場はさみしい""おしっこ"そして中也がきな臭くなっていく世相を憂いながらそれをサーカスに例えて朗読したと言われる"サーカス",ワーンウォーンというのは空中ブランコの音だということらしい。
更にたたみかけるように"街と飛行船"。ここで昔の"戦争はなんで起きるんだ"っていう昔の小室さんの口癖みたいな話題にこへさんやおけいさんも加わりしばしミーティング?
忘れないように言えば4人になって一番変化が大きいのがこの歌だと思う。まずはテンポが昔に近づいたこと、小室さんのメインヴォーカルを支えるコーラス部分がゆいさんが加わることでより厚みを増して、フォーシーズンの時代にタイムスリップしたように思える。
ここでようやくおとのばの紹介。
その中からと言う事で"花の渦〜倉敷相聞歌"が美しいハーモニーで綴られていく。
続いて私はスパイ、スパイ物語の原案的な"ヒゲのはえたスパイ"。
さがゆきさん作の"大きなグミの木の上で"そして小室さんが個人的には一番好きな曲として"いのちかえす日"。それに関する歌として本編最後はキングサーモンのいる島のジャケットの作者でもある小島武さんの"12階建てのバス"。実はこの曲、あの世へのお迎えのバスなのだとか・・
アンコールは最近の定番"サーカスゲーム",そしておけいさんのメインヴォーカルで新しい命を吹き込まれた"出発の歌"で初の函館のライブは終了した。
一部構成で一気にすすんだステージ、それでもいつもより多く感じたMCは、大きな会場における観客との距離感を計りながらのライブだったからかも知れない。
ロープウェイの時間を気にしながらのCDサイン会。正に第一ラウンド終了?
明日の小樽は多分もっと凄いパフォーマンスが期待できると思わせる夜だった。
それを表すようにロープウェイが中腹の雲を抜けると
そこには綺麗な夜景が煌めいていた。
六文銭'09にしても今回のツアーのウォーミングアップにはなったのかと思う函館の夜だった。
さあ、明日(19日)明日。続きは次回に。
「たくみのまる六&おけいさんLIVEレポート」カテゴリの記事
- 色あせぬものと変らぬもの、そして六文銭'09。(2014.01.29)
- 12月のうた 東京での六の日。(2010.12.07)
- ライブの原点♪ 六文銭の六の日(2010.06.10)
- おけいさんのめざすもの・・2010年の歌い初め(2010.01.11)
- 聖夜の前に おけいさん'09ラストLIVE(2009.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント