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2009-06-17

詩のボクシング 1998

NHKのBS放送が20周年だそうである。
と言う事で過去の放送の中から評価?人気の高かった番組が結構多く放送されている。
テレビっ子の端くれとしては、落ち着けない状況である。
過去に見た番組もあるけど、見逃した番組もいくつかある。
EGPの週間番組表とHDDの容量をにらみながら録画する番組を物色していた。
それでも見逃したり、偶然見ていて慌てて録画ボタンを押したものもある。

そんな中で気になったものもいくつか・・
最初に目が止まったのは、本田美奈子さんと岩谷時子さんの病院内における交換ボイスレターのやりとりを綴った番組だった。本田さんは白血病で、岩谷さんは骨折で、お互いを気遣いながら、何一つ動画はなく、ボイスレコーダに記録された音声だけで繰り広げられそれは、その結末を知っているだけに涙が溢れてきた。まるでこうして編集されること、再起を信じながら、それでいて自分の最後も予期していたかのようなやり取りは余に切ないが、それでいて夭逝の歌手と詩人でもある老女の心の琴線に触れるやり取りに感動している自分がいた。

勿論、最近の作品としてあの歌手の35年目のライブの様子のものもあった。
何しろ今やNHK御用達の歌手でもあるので・・
それより何より団塊な世代は皆様のNHKとしては蔑ろにできないだろう。
それがBSであっても、というよりBSだからこそか?

また録画したままで見れていないものもいくつか。
メトロポリタン美術館早回りガイドというのがある。早回り用だけど、見る側は落ち着かないと見る事ができないというのは皮肉だ。

そして今日のテーマでもある”詩のボクシング
実はこれは微かに見た記憶がある。しかし記憶が定かでない。
伝説の2回目の大会。チャンピオンねじめ正一さんと初回の審査員でもあった谷川俊太郎さんとの戦いである。
1998年10月10日がその戦いの日。
正攻法で、詩人としての自負で戦う谷川さん。変化球中心に映像というか、テレビを意識して戦うチャンピオンねじめさん。
いろんな見方があるだろうけど、9ラウンドまで攻守ところを変える形で進んでいく。そして運命の10ラウンド目、くじで引いたキーワードで3分以内に即興で作る詩の戦いとなる。
偶然なのか、お互いが引いたキーワードはチャンピオンが『テレビ』、そして谷川さんは『ラジオ』。先攻のチャンピオンがテレちゃんとピーちゃんと直接テレビに対峙するのではなく音として捉えたのに対し、谷川さんは"紙に書いた言葉は消せるけど・・言葉として口から発せられたそれはどこまでも広がっていき消す事はできない"と言った時点で勝負は決していたと思う。最後、今日、今聴いた僕の言葉はすべて忘れてください。と締めくくった時点でチャンピオンだけでなく、観客、視聴者までも、正にノックアウトしてしまった戦いだった。

私はふと、何年か(何十年?)か前の小室さんと谷川さんのジョイントコンサートのことを思い出していた。小室さんは谷川さんをはじめ名だたる詩人の詩に見事なまでに曲をつけて歌にしてしまう天才だけど、それを目の当たりにした谷川さんが”あ~あやって歌うように朗読すれば歌になるんだ簡単じゃないか"とおっしゃったのを。当然、小室さんは苦笑・・。少なくとも、谷川さんは自らの詩を朗読する詩人としてはNo.1だと思う、というか朗読することを前提に創作されているような気がするのだけれど・・

さて、この番組、ギャラリーも豪華だった。何より、六文銭とのゆかりの深い方々が多く登場していた。詩のボクシングということで、中原中也記念館からの中継もあったし、佐々木幹郎さんも屋台での審査員として出演されていた。そして、詩のボクシングへの出場を問われたのに対し”いや~僕はこうやって屋台でわいあいがやがやと言いたいことを言っている方がいいよ"とおっしゃっていたのが印象的だった。

詩のボクシング。実は今も続いている・・が、
このイベントのプロデューサーである楠まさのりさんは、2回目にベストバウトを見せてしまったと回顧していたのは、多分本音だろう。

夜中に書き出したこの記事。何やらまとまらなくなってきた。
考えてみると短歌会のように、その場で同じ物を見て詠い合う形って,実は詩の原点のようなのかも知れないと思った次第。
そして本人に変わって違う命を吹き込んできた小室さん,六文銭の先進性をあらためて感じることができた番組だった。

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