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2010-01-11

おけいさんのめざすもの・・2010年の歌い初め

2010年はいろんな意味でメモリアルな年なのかもしれない。

スタンリーキューブリックが映像化した"2001年宇宙の旅"の現実においては、未来であった21世紀がかならずしも夢の世紀でなかったことが明らかになった。その続編として作成された"2010年宇宙の旅"の時代に追いついても、年越しの派遣村を議論しなくてはならない日本も含めた地球人!として宇宙に旅立つ土台は、唯一のアポロ11号を例外とすれば、地表400kmの地球軌道上を彷徨うだけである。
20世紀の時代、進化という言葉の魔力で何もかもが変わっていくのが当然のように錯覚してしまった私達だけれども、変わり様もないものが厳然としてあることを忘れてはならない。ネットやPCを含めハードとして進化するものがあっても、そのもとに生きる人の営みにおけるソフトとしての心情は、果たしてそれにふさわしい進化どころか、何か大切なものを亡くしたままになっているような気がする。
※因みに2001年宇宙の旅の映画は1968年、そして続編として書かれた2010年宇宙の旅は1982年に書かれている。近未来でもやはり予測は難しかったようだ。

年の初めにめんどくさい話をするつもりはない。
おけいさんのライブを追いかけて5年余り、おけいさん自身にとっても28年振りに歌の世界に戻られてから10年目にあたる今年、密度はともかく28年前に体験された芸能界、歌の世界よりも数倍の月日が過ぎていったはずである。そんな10年間、歌い続けられることで何を目指してみえるのだろうか?

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昨年、待望のソロCDが発売されたけれど、おけいさんのめざすものがそれに留まるものでないのは明らかだ。ハードとしてのCDはできても、ソフトとしてのおけいさん自身の魅力があってこそのハードだし、LPがCDと形を変えてもそこに込められた想いの源泉であるおけいさんの魅力は安易な進化という言葉では表現できないものだと思う。

無論、ここでおけいさんの魅力を語り尽くしたわけではないし、何よりその魅力を伝えられる文章力を持っているわけでもない。ただ、おけいさんの歌声が響く空間に触れていられることに何とも言えない心地良さを感じているのは、その場にいる幸運なオーディエンスの共通な認識なのだと思う。
決して流行ものとしてではなく、かと言って遠い過去の記憶に酔っているのでもなく、同じ時間、同じ時代を共に生きてきた(無論、納得いくばかりの人生ではなかった訳だし)、何よりまだまだこれから生きていく人生の中で、フロントランナーとして道しるべとなるおけいさんの存在こそが魅力なのだ。

自分を誤摩化すことだけが上手くなった年月を、成長とは言わないんだよと諭すように、変わらぬ清々しさを持ち続けてみえるおけいさんの歌に浸ることで見失いかけた自分自身を取り戻させてくれる魔法のようだ。

何より、それを押し付ける(所謂懐かしのフォークや、未だに教条的に引っぱられることを良しとするオーディエンスも含め)のではなく、自ら体現されることで気付きとして我々の麓にみえるおけいさんは、その生き様こそが、我々の目標になっていく。

その意味でも、生身のおけいさんに会えるライブこそが最高の場なのだし、流行ものであれば大抵は実体とは違うエイリアス、アバターとしてのCDなり、作り物のミュージックビデオでも十分かも知れないが、本質に触れるためにはライブのチャンスを見逃すことはできない。

おけいさんがライブで
"28年前は中学生や地方にいてライブに行く事ができなかったという方に今出会えることがうれしい"とよくお話になる。
逆に言えば、これだけ見近に触れるチャンスがあるにも関わらず逡巡しつづける方は,大切なものをポトポトと落とし続けているような気がしてならない。少なくともそんな人生を私は送ることはできない。

そんなことを考えていたら、新春2日の久米さんのラジオで永さんのロングインタビューがあった。
永さん一流の表現だけど、これはまさに今のおけいさんのライブに感じているもののヒントのようにも思えたのでご紹介しようと思う。

永さんは今でも毎週土曜の朝8時半から1時までTBSラジオ(残念ながら関東地区だけだが)生ワイドの番組を続けられている。同時に基本的にはテレビにはもう出演されない。その理由として街中で"テレビ見てます"って声をかけられても今のテレビでは何を見たのか自分ではわからないし責任が持てないのに対し"ラジオ聴いてます"と言われると本当に同じ時間を共有したんだ、自分が何を言ったかという実感があるのだそうだ。
だから永さんはラジオの投稿に関してはすべて返事を書かれていた。年間4万通近くになっていたそうである(今は体を壊されて年賀状も止めているのだそうだけど)。なぜそこまでするのかと久米さんに問われたのに対し永さんの答は"親父から”人様から頂いた手紙に返事も書けないような忙しさは人間としてはずかしい”と言われたので、当然のことだと思う"とおっしゃっていた。

目が届く、手が届く、声が届く範囲、ダイレクトな反応に満ちあふれる空間を共有してこそ伝わる何かを大切にしたいというのは、おけいさんのライブ感にも通じるように思う。

と言う事で、いつにも増して前置きが長くなってしまった。
ある面、今年もライブに通い続ける決意表明だと思ってお許し頂きたい。
何より、おけいさんの10年目をおけいさんの姿を追い続けることによりおけいさんのめざすものに少しでも触れたいと思うので・・
※こんな私を社会人2年目の息子が"お父さんは独身みたいだね"とカミさんに話したそうである。息子よ、できれば青春してるねって言って欲しかったよ!

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2010年おけいさんの歌い初めは成人の日を控えた1月9日、
70年代のフォークの聖地、中津川と名古屋のほぼ中間に位置する美濃加茂市でスタートすることになった。地元では美濃加茂市より、その中心地である美濃太田と言った方がとおりがいい場所である。

会場はJR高山線の美濃太田駅前にある丸圭書店内の喫茶スペース、おけいさんが"ワンダーランドの意味が良くわかった"とおっしゃったように入口付近は通常の本屋さんの佇まいだが,ライブスペースに近づくと突然70年代の雰囲気が満ち満ちて来る。無造作に置かれた中に横尾忠則の画集やその時代の詩集、マンガやレコード、春画集などが溢れてくる。通路を通る間にそんな会場の雰囲気にオーディエンスが時空を遡っていくことになる。

集まったオーディエンスは、2回目はおろか3回目の成人式を迎える方々が中心だろうか?(失礼)場所がらか昨年8月のジャンボリーに行かれた方が多いような感じだった。(ソロとしてのおけいさんはその時が最初というのが大半)
さて、2010年の最初の歌がタイトルそのままに"はじまりはじまる"から。距離感の性なのか、あるいは久しぶりにゆったりとしたお正月を過ごされたからなのか、いつにも増しておけいさんの声が艶やかに響いてくる。
2曲目は最近よく歌われる”この大空に捨ててしまおう"を。ここで初めての会場では共通の歌いはじめられた経緯や今の活動をご紹介しながら"一緒に帰ろう"へと続いていく。うん、確かに今日の声には厚みがあるなあ・・
更にはおけいさんソロフューチャーの曲が続いて"あめのことば"。いつものダドカドを経て言葉繋がりで"ガラスのことば"を。
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この会場、こうしたライブを開催しはじめて1年目とのこと、昨年10月にはこへさんも来店されている。ただしおけいさんへのお店に関する業務連絡はなかったそうである(笑)

気分を変えてスタンダード曲の"What a Wonderful World"おけいさんの声もそうだけど,サポートする古橋さんのコーラスの同化具合が丁度こちらも1年経ったということで進んできたからなのかも知れない。

ここでようやくソロCDのタイトル曲である"初恋"を。
我々がおけいさんを道しるべとして人生が歩めるのと同じように、おけいさんにとってはこの曲を作った小室さんやこへさんがみえることで、28年間の眠りから覚めたばかりでも迷うことなく再び歩み始められたのだと思う。
こうして前半最後の曲はメラニーの”傷ついた小鳥"。

若干のハウリングの調整をして後半がスタート。
こちらは最早定番となっている"うれしくて"を常富バージョンで。
続いて"ホワンポウエルの街"言わずと知れたおけいさんが最初に作曲した曲。
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ここでこれも最近定番になりつつある古橋さんのギターテクニックご紹介コーナーが。ご本人曰くこれ専門というのはないそうだが、高校生の頃にすでに天才と呼ばれた華麗なテクニックを披露される。
      
ここから2曲、香真良さんの曲がつづく。因みにいずれも個人的には大好きな曲。
"しずかな雨"そしてご本人は賛否両論とおっしゃるが
否定的な声を聞いたことがないけど・・いずれにしてもおけいさんの新たな魅力が発見できる"シアワセになれる天才"。

"雨が空から降れば"今日のオーディエンスには一番馴染みのあるレパートリーだろうか?一緒に歌うオーディエンスが続く。
更には"私の青空"へ。おけいさんには故郷岸和田の姿が見えるよう、もちろん一晃さんのギターがさらに盛り上げていく。
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いよいよエンディングに向かって・・
まずは"旅の途中"そしてこへさんの詩が泣かせる"ささやかでも愛の歌"。そしてエンディングは、年明けから急に冷え込んだ東海地方へささやかながらも春を届けるように"春の風が吹いていたら"で2010年歌い初めライブは終了した。

アンコールは今日の余韻を噛み締めるように"インドの街を象に乗って"で。

こうして2010年、おけいさんの歌い初めライブによって私自身のライブ行脚はスタートした。
おけいさんや六文銭のライブに出会うことによって、見失いがちな自分らしさを取り戻す旅に出ることになる。
終わりのない旅ではあるが、おけいさんのめざすものに少しでも近づけることができることを願いながら・・

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コメント

wincさん

お久しぶりです。今年もよろしくお願いいたします。
wincさんも素敵なお花をお願いいたします。

投稿: たくみ | 2010-01-13 13時01分

たくみさん、今年もレポート、楽しみにしています(*^-^*)

投稿: winc | 2010-01-13 11時24分

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