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2011-02-11

ホントの八百長は・・

大相撲の八百長騒動が続いている。
何を持って八百長なのかとここで語っても仕方ないが、基本的に相撲という興行のイベント内の番付、まあ宝塚で誰がトップを取るかを競うように、イベント内の順位付けのための取組であって、その取組単体をスポーツと称してガチンコかどうかを議論して意味があるとは思えない。確かに自らの力を信じてガチンコ相撲がすべてという力士がいてもそれはそれで正しいし、芸能界でスターの座を獲得するために、ライバルの失敗を祈り、あるいは犯罪にならない範囲で意地悪や策を労して這い上がろうとする者がいることと同じように、十数万の金で地位が維持できるのであれば、それに手を染める力士がいたとしても不思議ではないと思う。多分、意識、無意識の違いはあってもそんなドロドロしたものを含めてのイベントとして多くのファンは相撲を見て来たのではないのか?と思う。

まあ、それが外部の賭博行為と通じたものでない限り(これは完全に犯罪だし)興行の一環としてみるのが正しい大相撲の見方だと思うのは私だけか?
だから贔屓の力士が自らの力だけで伸し上がるのをイサギいいと思って応援するのもファンだろうし、幕内と十両の間を何度も往復する危なっかしさにシンパシーを感じるファンがいてもいい。少なくともひとつひとつの取組がワールドカップを競うサッカー全日本の試合と同一視する方が異常ではないだろうか?
何よりそんな護送船団方式の興行に興味がないファンは最初からこのイベントを見ないだろうから。その意味では如何にも日本的な村意識、馴れ合いこそ美学(和なんていうのとは違うもたれ合い)とする日本文化の象徴みたいなものだと言えば、少しは理解できるのかも知れない。

さて,問題なのはそんな八百長騒動を,またぞろ正義の味方視点で偉そうに伝えるこの国のメディアだ。
まるで泥棒同士でどっちがいい泥棒か言っているようなもので、予定調和、権力の提灯記事しか書けない記者クラブメディアに八百長を語る資格はない。

まあ広報機関として提灯記事を書くのは勝手だが、だったらジャーナリズムなんて言わないで欲しい。極論すればジャーナリストとはペンの力で権力と対峙することであると思う。思想、信条に関係なく人間が掴む権力とは必ず腐敗するものなのだ。人間である以上、自ら握った権力について程度の差こそあれ。それを維持するために良心を売っていくものだと思う。だからそのことを非難するのではなく、そうなるものだということでそれをチェックすることが大事なのだと思う。
だから、それを担うものとしてジャーナリズムが存在することを忘れてはならない。
そんなジャーナリストが権力側におもねるようでは、もはやジャーナリストではありえないことを心すべきだ。しかし,悲しいことにこの国のメディアの大半はこうしたジャーナリズムを捨てた連中のたまり場になっている。更に悲劇はそんな連中の垂れ流す情報をあたかも真実のように疑うこともできない愚かな市民が、もはや愚民だけど、この国のマジョリティだということだろう。

まあデキレースという八百長社会に巣くうこの国のメディアが、八百長相撲を糾弾するなんて,これ以上の八百長はないと思うけど。

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少し離れて"チャールズウィルソンズウォー"を観た。
監督:マイクニコルズ
脚本:アーロンソーキン(最近ではソーシャルネットワーク、THE WEST WING)
主演:トムハンクス、ジュリアロバーツ等 と極めて豪華な顔ぶれ。

以前、町山さんが紹介していたのを微かな記憶に観たのだけど、基本的にはチャールズウィルソンという実在の民主党下院議員が行った対ソ連のアフガン戦争を扱ったものである。911事件が起きた時も少し話題になったけれど、911自体が結局は昔アメリカ自らが蒔いた種であることを間接的に表現している。

アフガン侵攻を図るソ連軍に対し正に竹槍で対峙するアフガニスタン国民。おちゃらけで女しか興味がない議員ながら単純な正義感を持ったチャールズが、ニュースで見たアフガニスタンの現状に、反共主義者の大富豪で元愛人のジョアン(ジュリアロバーツ)やCIAのはみ出し者だけど切れ者のガストに支えられ、手練手管を労して議会工作で資金を捻出し、イスラエルや今話題のエジプト、パキンスタンと必ずしも利害が一致しない各国を連携させて、アメリカの金でソ連製の最新兵器を購入(これを流すのがイスラエルの武器商人)、アフガンゲリラ達を訓練して、遂にはソ連を撤退させた。ソ連はこの3年後に国自体が崩壊するが、その要因のひとつがアフガン戦争であったことは誰もが認めるものだった。

映画の中で当初500万ドルだった支援費用が最終的には5億ドルまで増額させた手腕は、結果として冷戦の相手国を潰すことができた訳だから当時のアメリカとしては極めて費用対効果の高いものだったのだろう。その結果として彼は、軍人以外では最高の栄誉である"名誉ある同僚賞"を受賞する。映画では冒頭と最後にこの授賞式の模様が流れるのだが、何故かチャールズの顔は曇っていたようにみえる。

対ソ連のアフガンに5億ドルを供出したアメリカだが、ソ連の撤退後、CIAのガストは浮かれるチャールズにこれからが本当に大事なんだと諭した。それを理解したチャールズが、アフガンの学校建設に100万ドルの支援を要請したが、議会はもうアフガン問題は終わったと支援しなかった。チャールズはアフガンの国民の50%は14歳以下、彼らが故郷に戻った時、崩壊した故郷を観てどう思うのか?彼らはアメリカが支援したことなど知らないのだから・・。すでにその時、アルカイダの前身組織やイスラム地区のゲリラ組織の多くがアフガンに集結しつつあったことをガストは伝えたかったのだが。結局、そこを起点として911が起こり、後の大統領オバマはアフガンへ兵力を送り、結局ソ連のように?今年撤退する。すべてがやりっ放しのアメリカの現実だろうか?

映画の最後のクレジットにはチャールズ・ウィルソンの言葉として
"これは本当の物語だ。輝かしい成果で世界を変えた。しかし、最後でしくじってしまった。”
と流れてこの映画は終了する。2007年の映画だった。
確かに戦後の復興が大事だという意味で捉えているようだけど。

ただ忘れてならないのは、結局、正義を振りかざしてあっちこっちに首を突っ込んで、しかしアメリカ本土で911が起きるまで所詮他人事としか思わない、そのくせ何も解決しないまま、世界中を混乱させるだけと言うのがホントのしくじりであったことを理解して欲しいんだけど。ネ。

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