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2011-05-14

まだ続く情報操作。中日新聞の英断"電力不足は本当か?”

昔から銀行は雨の日には傘を貸さないという。
つまり必要な時には貸し渋り、必要もないのに担保があるとやたら貸したがる例えだけれど。

今、政府、大マスコミ、財界を巻き込んで大キャンペーンが展開されているのが、この夏の電力不足キャンペーンだ。表向きは福島原発に加え、浜岡の原発稼働停止を受けてのものだが、果たして本質はどこにあるのだろうか。
銀行の例えではないが、その真意が果たして真に電力需給の危険性を考慮して国民のために言っているのかは正直疑わしいと言わざるをえない。

合い言葉のように節電、節電と叫んでいるが、ついこの前までオール電化だと叫んでいた電力会社が一切言わなくなったのも不思議なことだし、少なくともその方が究極的にはエコだという要素もあったはずなのに・・・。
そして政府、民主党は民主党で原発比率を50%まで引き上げるとマニュフェストで歌っていながら、その経緯や説明を一切無しに危険だから原発を停止しろというのは余りに一貫性がない。
恥も何も無い野党の自民党に至ってはこれまで原発利権を享受した上に補助金漬けにして地方を懐柔して僻地に原発を作り続けた張本人であることに何の反省もなく、あろうことか東電の元副社長で参議院議員であった現東電顧問・元参議院議員加納を参与として迎えた「原子力守る」政策会議とやらを立ち上げて、原発推進を今後も計ろうとしている。
何せこの加納という輩は"低レベルの放射能は体にいい"とまで言っている奴だ。
まあいくら言論の自由とは言え,少なくとも現職の東電顧問としての立場を判っているのなら頭がおかしいと言われても仕方あるまい。
最後に言うまでもなく大マスコミにとって、各地の電力会社は大スポンサーでもあり、かつこれまでもご都合守護キャンペーンを展開してきた盟友みたいなものである。

そんな輩が言う節電とか、原発がないから大停電が起きるというキャンペーンは、眉唾以上に極めて意図的なものであることは明らかだ。

何より、その根拠としている電力の受給バランスの数値そのものは、すべて原発を推進してきた通商産業省と電力会社が発表しているものであり、その数値自体の信憑性は今回の事故を見る限りあるとはとても言えない。
どうみても彼らにとっての優先課題は大停電回避ではなく、何とか原子力発電所がないことでの危機を煽って原発の全面停止の回避であることは明らかだ。
でなければ、海江田が中電に対し2年後の再開を保証するような発言はありえないし菅も他の原発には停止要請をしないということをことさら宣言する必要もないだろう。少なくとも今の段階で言うべき事は、”国民の安全を確認できない場合はいずれの原発についても今後停止要請をする用意がある”くらいのことを言わなければならないと思うが・・。

そんな折、5月12日に大マスコミの末席のひとつである中日新聞が大胆な特集記事を掲載した。曰く"電力不足は本当か?”と極めてセンセーショナルなもの。

内容は東電/政府のいう受給状況が仮に真実だとしても、この夏、東電管内であっても電力不足は起こらない。しかもその根拠となる広野火力発電所の7月復旧や揚水発電実績を意図的に公表せず、ことさら電力不足をアピールしていると言うのだ。記事ではこうした"国民を欺くような『情報操作』の裏には、なおも原発に固執する政府や電力会社の姿勢が垣間みえる"と佐藤圭氏の署名記事ではっきりと断罪している。
ついでに言えば40%も原発に頼っているという関電であっても問題ないと記載している。
少なくとも都合のいい数値しか示さない電力会社や政府よりは,遥かにこの記事の方が信憑性は高いと言える。

勿論、原発以前の問題として節電をすることはいいことだ。
しかし、どうも単細胞的発想しかできない日本人の性をこの震災を機に変えていかないと、またぞろだから原発が必要だと丸め込まれることは目に見えているし、自ら考える市民に変化する転換点としなければならないと思うのだが。

そして、大マスコミの端くれとは言え、こうした記事を掲載した中日新聞には素直にエールを送っておこう。これからもこの姿勢を是非忘れないでと。
20110512

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