色あせぬものと変らぬもの、そして六文銭'09。
まるで六文銭のようにの活動が始まってから今年で15年。
そしてゆいさんが加わった六文銭'09としては6年目になるという。
いずれにしても過去のどの六文銭よりも長く続いていることになる。
その意味では、今はやりのように団塊世代をターゲットしたグループの
再結成、復活とは当然ながら一線を画した存在であるのは言うまでもない。
つまり六文銭'09は懐かしのユニットではなく、今もまだ留まること知らない
現役音楽ユニットなのだと思う。
放っておくと今でもどんどん新しい曲が,ハーモニーが生まれてくる感じがする。
ただそのエネルギーが大きいからこその危うさ、不安定さをユニットとしての
活動を限定的にすることで、バランスを取っているように思う。
今日のライブで中で、いみじくも小室さんがこへさんのことをよく判らないと
いいながら、よく判らないからいいんだと。そしてゆいさんもこへさんの
難解な曲をすっと自分で理解できるとかっこいいと思うとも、
ユニット内でいまだに探り合い、影響を受け合っているユニットがあるだろうか。
小室さんがこへさんの曲作りを揶揄しながらも、今日の後半の曲を
すべてこへさん作曲のセットリストで行なうのもお互いに認め合っているから
こそだと思う。
その意味ではオーディエンス側がそれについて行っていないのでないかと
考えるのは私だけだろうか?
無論、それぞれの価値観があるのだからかまわないが、
知っている曲だけを懐かしむのなら
(多分、その時代の自分自身を懐かしむために)六文銭'09はふさわしくない
と思うのだが。
昔の曲であっても、初めて聴く曲もあり、何より40年前に作られたことが
信じられない鮮度で迫ってくるし、知った曲であっても2014年の六文銭'09の
レパートリーとして、演奏される。そして今のこのユニットだから生まれる素敵な曲に出会うことが、ライブに通う最大の楽しみでもある。
前置きはさておき、2014年最初のライブ”六文銭'09 うたいぞめ"は
高円寺のライブハウス"じろ吉"で行なわれた。
高円寺の駅から数分、5時頃には数人の方が冬としては暖かいその日、
すでに開場を待ってみえた。
何しろ本日の開演は7時半、さすがに早いと思いいくつもある高円寺の
商店街をぶらつくことにする。(これがこの後の悲劇?を生むのだが)
高円寺は地方のシャッター商店街と対極のにぎやかな商店街がいくつもある。
阿波踊りで有名な純情商店街やアーケード沿いのパル商店街があり
時間潰しには苦労しない。
なんだかんだで7時少し前、会場に戻るとすでに場内は満席、
お知り合いを探すにも暗い中と後姿ばかりではそれもかなわず、
結局最後まで立ち見での参加となった。
会場の案内では椅子で40名、スタンディングで100名とあるが、
多分実質50名程のオーディエンスだろうか。
(六文銭’09ならもっと大きな小屋でもいいと思うのだが、このサイズ感をあえて選択されているのかも知れない)。
いずれにしても平均年齢60歳前後のオーディエンスにはスタンディングは
少々きついかな(笑)
定刻どおり、その分オーディエンスと極めて近い距離感でライブがはじまる。
1曲目は、うたいぞめらしく"はじまりの足音”というノリのいい歌で始まった。
40数年前にこへさんの詩に小室さんが曲をつけたものだが、
こへさんご本人には記憶がなかったとのこと。私も初めて聴く曲だが、
今回作ったと言われてもわからないほど、新鮮な印象の曲である。
小室さん曰く前半は,昔の曲、やったことがない曲中心でいくとのことだった。
2曲目は"げりらの歌",70年代のFMで流れたのをエアチェックした音源を
持っているが、女性の声は小室さんの奥様のものである。
ちなみにこの曲は、虫プロのアニメラマ3部作の中の挿入歌として
音楽担当の富田勲さんの依頼で作った曲とのこと。
3曲目は”スナフキンの歌” 初代のアニメ(岸田今日子さんの声)ムーミンの
スナフキンの曲とのこと。
当時ゆいさんは"うちのおとうさん、スナフキンだよ”って言って
いじめられたとのお話も。
続いては"ヒゲの生えたスパイ”これは別役さんの戯曲”スパイ物語”の
下敷きになった曲。
この曲自体も別役さんの詩だが、これは当時"比叡おろし"の
作詞者でもある松岡正剛氏が発行していたハイスクールライフ誌内で、
詩人の詩に無理矢理曲をつけて発表していた中のひとつということで、
私にとっても、茨木のり子さんとか,大岡信さんとか清岡卓行さんの
純粋な詩に何でも曲をつけてしまう小室さんの凄さに気づいたきっかけの
頃の曲である。
そして5曲目にそのスパイ物語の中の挿入歌である"雨が空からふれば"がすっと流れ、
同じく挿入歌で前半のメーンイベント?でもある"全部買っちゃった"。
スパイ物語自体は言うまでもなく、こへさんと小室さんを結びつけたきっかけだから、まるで六文銭の成り立ちを追っていくドキュメンタリーのような構成でもある。
そしてこの曲、歌というより劇中、常田富士男さんの口上を
小室さんがそのまま演じるという力作で、この日朝8時半から永さんの番組に
出演されていた小室さんのエネルギーが最後まで続くか心配になるほどの迫力だった。
7曲目の”街と飛行船"がいつものハーモニーで流れてから
急遽、鳩首会談がステージ上で。次の曲をどうするかのよう。
結局、こへさんの両方やったらで決着。
"12階立てのバス"そして"雨"で前半が終了した。
さてスタンディング位置はセンター正面だが、私の前におひとり
スタンディングオーディエンスがみえるので小室さんは頭を傾けないと
見えない位置。
下手に収まるこへさんはばっちり、小室さんを挟むゆいさんと四角さんも
問題ない位置だが、6時間の高速バスで来た身としては足というより
腰に疲れが溜まってきている。
(でも当然、歌ってみえる皆さんはスタンディングなので弱音ははけないなあ)
後半はすべてこへさんの曲でいくと小室さんが宣言して
"にんじん”でスタート。(こへさんソロの極初期の歌)
ゆいさんと四角さんのユニゾンがさわやかな”木の椅子"
小室さんやゆいさんのこへさんの曲に対する評価なり、感想を交えながら、
こへさん自らの紹介で糸田ともよさんの詩に曲をつけた"春日、まほろば”。
いつもはソロで歌われるこの曲を4人のハーモニーで幻想的に歌い上げる。
重ねるように”戦場はさみしい"そして"大雪の日"
曲に対しては小室さんが絶賛した上で、
でもさこれ最近作った曲だけど"大雪の日,密かに地下室で祭りを企てる”なんて
絶対60年代、70年代学生運動やってた奴の歌だよねと話される。
転調を重ねる曲もどうしたいのかと,揶揄しながらも楽しそうだった。
”ありふれた夢"この曲についてはご自身が解説なさっているのでこちらを---
続いて詩人、有働薫さんの曲。
"月の魚” こへさんは"雨が空から”につながるとおっしゃって,
小室さんがどこがと突っ込み、
歌い終わった後、ゆいさんが確かに雨が見えたとしめくくる。
そしてライブラストは同じく有働さんの"白無地方向幕”本日の収穫のひとつ。
六文銭’09として歌われると新しい命が吹き込まれたよう。
因みに白無地方向幕とは昔のバスの行き先を表す表示幕とのことである。
お決まりのアンコールは、いつものサーカスゲームなどではなく、本日、初めて聴く6曲目。今日は色んな曲が聴けて収穫大、というか2014年の六文銭'09の方向性を示してくれたのかも知れない。
こへさん曰くツイストだねって言うノリのいい歌。”グットくるように愛してる”。
続いて出発の歌だったが,個人的にはそのままで余韻に浸りたい感じだった。
さて、私もまもなく2回目の人生が始まる。2回目の人生もまだまだ回転し続ける六文銭'09がそばにいてくれているというのは何とも心強い。
6年目と60年目、やはり六文銭のない人生なんて考えられないな。
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